文散

憧れ/詩歌

憧れている。 それはきっと、夢に等しい。 照れないで歌えるだろうか。 あの歌手が歌うように。 あの歌手を真似て歌っているように。 こんなふうに。 いつか。 051015

クダケ・チル/散文

砕け散る。 甲高い音。響く悲鳴。流れる涙。 激しい痛みに心臓が貫かれ、破れ、血を、噴き出す。 思わず、胸に何かを抱くように体を折り曲げる。 しかし庇うべきものは無い。 心の蔵は砕け散った。 体内に分厚い肉片が散乱する。 口を開くが血は流れない。 …

氷雨/散文

ぎゅうっ、と音を立てて全身から心臓へと血が退いていく。 血を失って、手足は冷たくなる。 感覚は停止し、指は痺れて動かない。 胸が押しつぶされるようで、息苦しい。 呼吸が難しいので、息を吐くためには体を折り曲げることで肺をつぶさねばならず、息を…

Phrases-2 愚にもつかないこと/散文

Ashes to ashtray, dusts to dustpan. 灰は灰皿に、塵は塵取りに。 意味:(埋葬する際に)死んだらそれまでよ。

Phrases-1/Prose

□痛みを抱えて飛べるほど、空は優しくはない――。 □高く飛べば飛ぶほどに、地上は見えなくなっていく。 □目を瞑って見る夢は優しく、 目を開けて見る夢は厳しい。

Station/Prose

白い息を吐いて 改札の前に佇む人達 その目は遠く 宙を見つめてる 時折見上げる 電光表示、変わりは無いけれど 何となく 確かめてしまうんだろう 一人でいる彼女は 恋人を待っているのだろうか 仄かに頬を染めて 瞳を輝かせてる 一体いくつの 出会いがこの駅…

問いかけ/散文

常に問い掛けられる。 キミのソンザイスルカチは? 答えは無い。 常に問い掛けている。 僕に何ができる? コタエは無い。 何時も問いかけて止めてしまう。 僕は僕自身を…。 問いかけてその先の無いまま。 存在しないセカイからの問い掛け。 存在しないセカイへ…

途絶/散文

僕は世界から離れてしまったようだ。 あの青い空も、白い雲も、町も人も道路も、 時間も。 すべて僕から切り離されてしまったように見える。 何もかもが遠く、手の届かないところにあって、 僕を、嗚、僕を、 嘲笑っているように見える。 この体も、遠い。 …

軋み/散文

最近よく心が軋む。 軋みは、葛藤とは違う。 葛藤はふたつの思いが絡み合い、混乱している。 軋みはふたつの思いが擦れ合い、反発している。 しかし、頭はそれを在ってはならない程の冷静さで、 ただ眺めて、吟味しているだけなのだ。 心の回転と相克と軋轢…

柔らかい死/散文

体が爪先からぽそぽそと崩れてゆく空想。 柔らかい綿のようになって体からはがれていく肉。 少しずつ短くなってゆく指先に恐怖を、 その柔らかな変形に安らぎを、 覚える。 やがてその「柔らかな死」は肘を捉え、胸に達し、 心臓をそっとこの胸から取り去っ…

夢見心地/散文

心地よい夢を見る 甘く優しい夢 暖かさと切なさと 寂しさと安らぎと 恐ろしい夢を見る 怖く冷たい夢 死と戦いと 血と痛みと 夢の中でも 悩み苦しみ嘆き 喜び笑い歌う 人と出会い 人と別れ 疑い信じ 教え教わる それはもう一つの世界 しかし責任を問わぬ夢 夢…

しじんのうた、だれかにあてたてがみ、だれもにあてたてがみ、へんじをきたいしてしないふりをするてがみ、さまよって、さまよって、かえってこない、こと。こくうにすいこまれるうたのごとし/散文

もし、詩人が死んだとしてだ。後には何が残るだろうかな…。 僕には、少なくともだよ、僕には何も残らない気がするんだ…。 どんな事を考えて、どんな事をして、どんなどんなものだったって、 それが虚しい事の様にしか思えないんだ。 自分に自信が無いのだろ…

透明な微笑み/詩歌

底の知れない君は 透き通るように笑う 腹の底から 心が透けるほどに

虚無/散文

唯、虚し。 040114

最近お気に入りのセンテンス/散文

彼はくつくつと笑った。 火に掛けたポットの中から空気が逃げる時、 ふたを押し上げて鳴らすような、 軽妙な笑い声だった。

寂寥/散文

□寂寥 雨風に晒されたされこうべが、 さざれ尽くして土塊に還ってゆく。 なぜあなたはここに朽ちているのか。 私は知らない。 ここで倒れ伏して、総てを喪う事で、 果たして得る物があったのか、 私は知らない。 その虚ろな頭蓋の裡に、かつて何が在ったのか…