クダケ・チル/散文

砕け散る。

甲高い音。響く悲鳴。流れる涙。

激しい痛みに心臓が貫かれ、破れ、血を、噴き出す。

思わず、胸に何かを抱くように体を折り曲げる。

しかし庇うべきものは無い。

心の蔵は砕け散った。

体内に分厚い肉片が散乱する。

口を開くが血は流れない。

乾いた悪寒が舌の上から転がり出る。

感覚が飛び散る。

其処彼処に散らばって、地面から僕の残された部分を見つめる。

前頭葉が黒ずんでいく。

視力が閉ざされる。

世界が黒く終わる。

後頭部に感じる不快な熱だけが最後に残っているが、

それもいずれ消える。

自分という活動が停止する。

自分に知覚されていた世界も停止する。

全て、停止する。