柔らかい死/散文

体が爪先からぽそぽそと崩れてゆく空想。

柔らかい綿のようになって体からはがれていく肉。

少しずつ短くなってゆく指先に恐怖を、

その柔らかな変形に安らぎを、

覚える。

やがてその「柔らかな死」は肘を捉え、胸に達し、

心臓をそっとこの胸から取り去ってしまうだろう。

きっと、痛みも感じさせる事無く。

それを眺めた後、そっと僕は目を閉じる。

支えを失った頭部はゆっくりと、

僕の体だった綿埃が降り積もったところへ落ちてゆく。

舞い散る白い綿埃の中で僕は思う。

「あぁ、すべて終ったのだ。」

そんな、心地よい空想。

040912推敲

050203推敲

「きっと、痛み~」の「、」を挿入

070123推敲

「体から離れていく肉体」→「体からはがれていく肉」