感想

『GIANT KILLING』11巻/読書感想

モーニングで連載中の『GIANT KILLING』が面白すぎる。 最新刊11巻も素晴らしい。 若手の抜擢でスピードアップし攻撃的になったETUは昨季に比べてはるかによい調子でシーズンを過ごしていたが、そんなETUに好調ゆえの苦しみが襲い掛かる。 中盤を支配する王…

甲野善紀×茂木健一郎『響きあう脳と身体』バジリコ株式会社

あっつい……じめじめする……。 感想ね……あのね、俺は茂木氏の言ってるクオリアがなんのことやらさっぱりなのだが、 それってさ、つまり、知覚したことに意味を見出そうとする力の延長上にあると思うというか、 相手が言っていることに意味があると考えようとす…

桜井章一・甲野善紀『賢い身体バカな身体』講談社

桜井氏を「バケモノ」呼ばわりする僕ですけどね、つまりこの甲野氏と桜井氏はかなり高い確率で己の直感で正解を選び取りながら生きてここまで年齢を重ねてきた、それが常人の域を超えて異質なのですよ。 普通は直感でここまで現象の問題を捉えられない。 た…

オイゲン・へリゲル『日本の弓術』岩波書店

大正15年より弓聖・阿波研造に弓を学び、4年間の稽古によって五段の免状を得たドイツ人・オイゲン=ヘリゲル氏のドイツでの講演を翻訳したものである。 ヘリゲル氏は哲学が専門ということで、東洋的概念に対して思索的に接近していく過程が読み取れる。 しか…

【再読】森博嗣「スカイ・クロラシリーズ」/読書感想

……感想を書こう書こうと思う間にどんどん読み進めてしまって、結局シリーズ読み終わってしまった。 以下、ネタバレ。

桜井章一『人を見抜く技術』講談社α新書/読書感想

誰もが癖を持っていて、癖を直すことでちょっと自分を変えられるという話をしている一章と立ち居振る舞いから相手のタイプを見分ける第五章が面白かった。 この辺はやはり、この技術で生きてきたという感じ。 他の章はその観察力で現代日本を見て取ったもの…

7月の購入/読書

久々の大量購入ですよ。 ニーチェ『ツァラストゥトラはこう言った(上・下)』、カエサル著・近山金次『ガリア戦記』、オイゲン・へリゲル『日本の弓術』岩波書店 松岡圭祐『マジシャン 完全版』角川文庫 乙一『暗いところで待ち合わせ』幻冬舎文庫 桜井章一…

桜井章一と甲野善紀の対談見に行った/講演会感想

九大のユーザサイエンス機構の坂口先生がコーディネーター役だったんだけど、ぜんぜんテーマ通りの話をしてくれなくてすごかった。 坂口先生がしどろもどろになってんだもん、ひどいよ。 位負けってこういうことかな、と思った。 桜井章一氏が自由すぎた。 …

【再読】森博嗣『ナ・バ・テア』中公文庫/読書感想

『スカイ・イクリプス』を買い忘れていることに気が付いて、買おうと思うので再読を開始。 すっかり忘れている。 が、それにしてもこの1年前の感想はひどいな。 ⇒森博嗣『ナ・バ・テア』中公文庫/読書感想 気を取り直してこれよりはまともに紹介しておこう。…

本多孝好『MOMENT』集英社文庫/読書感想

うーむ。 面白かった、割と。 敢えて言えば、もうちょっとひねりが欲しかったかな。シンプルなのも良いけど、シンプルすぎるのも退屈だ。 主人公は病院で清掃夫のアルバイトをしているが、そのついでに患者から御用聞きをやっている。 そんな話。 なんとなく…

横山秀夫『深追い』新潮文庫/読書感想

横山秀夫の小説は生真面目に組織人の枠に収まっていて、フィクションとしての開放感に惜しいところで欠ける、なんていう感想を書くのにも飽きたので、個別に感想を。 「深追い」 しかしそれでも深追いは深追いだなぁ。 やっぱこの先は厳しい。 「又聞き」 ず…

湯本香樹実『夏の庭』新潮文庫/読書感想

読んだことがなかったので。 夏休みの読書感想文の題材として取り上げられることも多い、「死」について考えさせる作品として有名です。 しかし、有名すぎて却って敬遠してきました。 あらすじから、最初は興味本位で観察していたおじいさんに情が移り、身内…

横山秀夫『陰の季節』文集文庫/読書感想

警察小説、というジャンルの多くは実質的には刑事小説だった、と僕は思う。 刑事とその捜査対象とで作られる世界が描かれていた。 横山秀夫は、その警察小説を警察の内側だけの世界を描き、その内なる闘争を描いたのが新しい。 そこに描かれる正義は一般に通…

森博嗣『τになるまで待って』講談社文庫/読書感想

なんか、Gシリーズの森先生はすごいずるいな。 動機も犯人も、まだ、提示されないなんて、ずるい。 とか思ってたら…おばさま…何を言ってらっしゃるんですか? うすうす思ってたけど、このGシリーズってこれまで以上に後ろで動いている流れがすごい重要だよね…

チェーホフ 作・小野理子 訳『桜の園』岩波文庫

悲劇的に演じられることが多いこの劇、作者チェーホフは喜劇として作ったらしい。 確かに、悲劇としてはラストシーンはあまりにも穏やかだ。 しかし、喜劇としてはどうだろう? あれだけ思い悩んで悲劇が今にも起ころう、起ころうとしていたのに、終わってみ…

伊藤比呂美・井上雄彦『漫画がはじまる』/読書感想

『最後の漫画展』を出たところに置いてあったので1時間で読んだ。 俺は伊藤さんの詩は読んだことないけど、この人が西日本新聞で持っている人生相談コーナーが大好きなんだ。あの不気味な自画像も含めて。 うん、すごい人だよ、たぶん。 そういう人と、井上…

井上雄彦『最後の漫画展』at熊本市立現代美術館/観覧感想

行ってきた! すばらしい! 漫画の新しい可能性というか……なるほど!って感じだった。 漫画というのは、ただの絵ではない。 それは絵の連続で時間的経過を示している。 漫画というのは、ただの物語ではない。 絵が中心となることで、情景描写を簡略化し、小…

小川亮作 訳『ルバイヤート』岩波文庫/読書感想

この訳は流麗さに欠くが、解説にも見える訳者の誠意がよく反映された分かりやすい訳である。 忠実さを信ずるにオマルハイヤームは一見悲観的ながらも積極的に人生を楽しんで見せる良き学者であったと知れる。 科学者は自己の観測の限界を痛切に嘆じつつ、そ…

もろもろの感想/読書感想

『狼と香辛料』の新刊について書こうと思ったけど、感想が短かったのでほかのいろいろとまとめて書く。 まず『狼と香辛料』 意外に乙女で吹いた。 はい、次。 ホンダム退場早すぎるぜ……いや、これは乗り換えフラグと見た!ロボットアニメ的に! ああ……次はサ…

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』岩波文庫/読書感想

とりあえず読み終わりました。 面白かった。 付箋にメモして貼りながら読んだので、週末に付箋を見返しながら詳しい感想を書こうと思います。 要点は、対象は観測される形式を持っていて、観測が完全に成されればその観測されたものの中にその対象がこれから…

『レッドクリフ Part2』/映画感想

さて、両親と行って来たPart2 ネタバレしまくりつつ感想行きます。 Part1の感想はこちらから⇒『レッドクリフ Part1』/映画感想

『レッドクリフ Part1』/映画感想

4/9にパート1を、4/29にパート2を観ました。 予想以上に面白かったです。 観賞前は「三国志の中でも赤壁の戦いは面白いんだけど、あの巨大なストーリーから赤壁だけを取り出してきちんと理解できるのか?」という疑念を抱いていたんだけど、それは間違った…

千里眼 運命の暗示 簡易感想/読書感想

この巻は面白かった。 というか、まるっきり『ミドリの猿』の下巻だな。 いっそのこと、タイトルを統一して上下巻として売り出した方がわかりやすかったのではなかったか。 この巻はハッタリが利いたラストが面白かった。 映画とかでこんなラストだったらぽ…

4月の購入/購入記録

なんか慣れない生活だったので本を読めなかった。 買いにも行けないし…… というより、ストックが『枕草子』しかなくて、素読では読めなくてねー(汗 そんな状況を打破すべく、昨日は久しぶりにブックオフに行ってきた。 いや、本来の目的はイヤホンを買いに…

『イブの時間』/アニメ感想

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読み終わるというタイミングで見た。 去年ちらっと話題になったよね。 ニコニコで見られるってのはうれしいな。 俺はどうも情報弱者なので、好きな分野の割にはチェックが遅れてしまうんだ。 『イブの時間』(ニコ…

ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』

アンドロイドやロボットに限らず、意図的に人間に近いものを描くとき、そこには作者の人間観が現れてくる。 ディックは、人間らしさを共感する心と考えていたのだろう。 人口の減った世界で、強い共感を得るための「共感ボックス」に人間が浸りきり、アンド…

3月の観賞記録/読書感想

購入は3/24の 野尻抱介『沈黙のフライバイ』ハヤカワSF のみ。あと、『海皇紀(39)』。また、偶数巻を買うのを忘れた。 3月の読了はこんな具合。 3/10 アーサー・C・クラーク『神の鉄槌』ハヤカワSF 3/13 東野圭吾『予知夢』文集文庫 3/16 東野圭吾『容疑…

谷崎潤一郎『痴人の愛』新潮文庫/読書感想

大正13年、1924年の作品です。 会社では「君子」で通っている主人公の譲治は、西洋人じみた容姿をした十五歳のカフェの女給・ナオミを自分好みの女性に育て上げようと思い、その身柄を引き取って二人住まい始めます。 この十三の年の差のある二人は、はじめ…

野尻抱介『沈黙のフライバイ』ハヤカワSF/読書感想

通勤ルートにある本屋がほんの数日きまぐれのように”ゼロ年代”フェアをやってて、まあ、いろいろな作家が、SFが、平台の半分を占めるまでに平積みされているという、珍しい事態で、ニコニコでボカロ押してたりいろいろ縁っていうのかなんというか、野尻さ…

浅倉卓弥『四日間の奇跡』宝島社文庫

「第1回『このミステリーがすごい!』大賞」受賞作。 ずっと以前、僕は「このミス」って新人賞だと思ってなかったわけですよ。 なぜかといえば主因は、海堂尊を『死因不明社会』で知ってから、「このミス」受賞作の『チームバチスタの栄光』を知ったからな…