目覚め/daily

“scrap”と題した.txtファイルにこんな文章があった。

目が覚めた直後の、あの「自分は誰で、今どこにいるか」を思い出すまでの一瞬が好きだ。

長くはない、ほんのコンマ数秒の瞬間、私は夢を引きずって自分を忘れてしまっていて、それで自分が誰だかわからない。

それはとても無垢な状態で、欲も何もなくて、怒りも憎しみもない。ただ、そこには光に満ちた空間に自己が出現した、その喜びだけがある。

しかし、その短い忘我状態からの立ち直りもまた、一瞬で完了する。

私は私の形を思い出し、名前を思い出し、あらゆる感情と共に、忌々しい現状と今日のスケジュールを思い出す。

人が生まれた瞬間はこんな感覚だったろうか、その一瞬の後に、私はそう夢想し、優しい感情を抱く。

たまには、そういう日もある。