連覇!/Baseball

韓国に2敗目を喫した日にはすっかりしょげかえった記事を書きましたが、たとえ手のひら返しと言われようと僕はこの快挙を手放しで喜んでしまいますね!日本代表おめでとう!

そして、決勝に進んできて、世界一の名に恥じない好試合をともに創り上げた韓国も賞賛せねばならないでしょう。

強い。

本当に強かった。

同じ国と5試合も対戦する可能性のあるこの不可思議な勝ち抜き形式の中で、僕が一番恐れたのは2勝2敗のまま日本あるいは韓国のどちらかが敗れて決勝に進めず、雌雄がうやむやになることでした。

2勝2敗のまま韓国が優勝しても、日本が優勝しても、どちらも優勝しなくても、それはそれでどちらが強いかという議論の余地を残す結果となったでしょう。

それはすごく居心地が悪い。

ほぼ互角であることを、互いに決勝に進出することで証明し、そして、素晴らしい試合で一時の優劣を決することができた、これは僕が一番感銘を受けたことです。

選手ではイチローに尽きる。

韓国との4試合目までは不振は本物だったと思います。

しかし、キューバとの2戦目から少しずつ腰が落ち着いてきたというか……。

僕は日本ラウンドはあまり観戦できていなかったのでわかりませんが、イチローはまずルーティンからおかしかったと思います。腰がふわふわしているというか、重心が浮いていて、だからバットがビシッと力感を持って振れていないように見えたのです。

それがだんだん落ち着いてきて、キューバ戦以降特にルーティンに背骨が通ってきたように思いました。

そして今日の4安打。

今日は特に集中できているという感じがありました。

ルーティンがこれまでどおりできていることで、違和感が減少したのだと推測します。

最後の打席は芸術品だったと思います。

いや、しかし、今日の試合はすばらしかった。まさに醍醐味。

岩隈は投手の究極が低めの制球にあることを見せました。調子が悪くても低めに制球できれば大怪我はしないのです。

韓国の先発投手・奉重根も調子が悪かったと思いますが、よく立て直したと思います。先発は修正力が大事。直球が悪いところを、変化球を中心に組み立てて感覚を修正し、直球を増やしたように思います。

韓国のバックも好守でそれを支えました。二塁も遊撃もいい選手。打撃重視の選手の不振で出てた守備重視の選手だったとか。でも、短期決戦はそれが正解ですよね。

日本は相性も買って城島を4番に起用しましたが、そうは問屋が卸さぬ大ブレーキ。この辺も打撃は水物という感じで面白かった。今日は城島は守備の人。盗塁を刺したシーンはすごかった。ダルビッシュは、「ストレートを思い切って投げろ!」って観戦しながら思っていたけど、今冷静に思うとそれはサヨナラか、セーブか、というイチかバチかの賭けになってしまっていたな。城島は冷静だった。

逆に当たったのは内川。村田の分まで活躍すると誓いつつ、自分ができることから離れないそのプロ意識がすごかった。あと、あのショートバウンドの処理が内野経験の有無という要素を見せて貴重。

秋信守のパワーはすごいね。韓国選手はパワーヒッターのスイングがすごい力感がある。

中島は良い打撃をしたことよりもあの併殺崩しで手を上げたのがな……。あれやる選手は日本にすごく多いけど、ぜんぜん間に合ってないんだからやめてほしい。どうせ守備妨害の抗議くるし、あんまり流れ的に意味ないと思う。

韓国の中継ぎよかったけど、先発が序盤苦しんだ分、早めの継投になって最後のイムが苦しんだよね。逆に日本は岩隈の好投が中継ぎ・抑えに短いイニングをきちっと全力で抑える集中力を与えてくれた。

それでもイムの球すごすぎ。川崎の初球ショートフライは、川崎は多分タイミングを取るためにミートしてファールにしようとしたんだと思うんだけど、シュートの切れ味が想像以上だったために先っぽに当たって、球威に押されてフライになってしまったのだと思う。代打はストライクゾーンの初球をスイングしないとバットが振れないと言うから、川崎が振ったのは正解だったと思うけど相手が悪かったんだということだと思う。

そしてイチローに繋がるわけだが。

韓国の監督は試合後、イチローは敬遠するつもりだったと発言していて、イムに伝わらなかったことを悔いていたそうだ。これは最初1,3塁の場面だったから、不振のイチローに対しては臭いところを衝いて四球でいいという意識の指示だったのだと思う。(この辺以降、記事を書いた後で録画を見たらカウント間違ってたので修正して加筆してます。)

まず、外に1ボール。これは際どい。ここで捕手はベンチを見る。

2球目はアウトコースに構えたのが逆球になってストライク。

ここで岩村が走る。俺は興奮しきった頭で「この盗塁が本当に大きな駆け引きで、岩村はバッテリーがバッター集中していることを見越して絶対100%で盗塁を仕掛けた。それは盗塁の確信以前にバッテリーがイチローとの勝負を決意していることへの確信であるわけ。でなければイチローが敬遠されて、守りやすくなるかもしれない盗塁は選択しづらいはず。そして、あの盗塁に無反応の時点で改めてグラウンドレベルでのイチロー勝負が決定したわけですよ。」なんていったん書いたけど、これは岩村がイチロー敬遠を視野に入れてバッテリーの動揺くらいは誘っておこう程度の盗塁かな。

この盗塁で、2,3塁になった。冷静に考えているベンチは、ワンヒット2点の場面になったのだから敬遠すべきと強く感じていたはず。でも、あのグラウンドの集中しきった、赤熱した鉄板に水滴を注ぐことができる人間はいなかったんですよね。僕もすっかり興奮していたし、誰もが動けなかったんじゃなかろうか?

そこが美しかった。

ただ、イムはちゃんと冷静にボール球を投げていて、実際カウントは2-2まで行ってる。

すごかったのはボール球もカットして、最後に、確かイムにとってのその日の45か46球目を投げさせたイチローなんよ。

あのシーン。記憶が確かならば、打たれる前の球よりも捕手は少し内側に構えてしまっていた。打たれる前の球もカットされていたけれど、まだボールを投げられる場面だからより外側に構えて良かったはず。けど、プレッシャーか、何か分からないけれど韓国の捕手は、若いらしいけど、少し内側に構えた。(後で確認したら、半歩踏み出しを少なくしてしまっていた。)それでもほとんどボールゾーンだったけど、イムの投げた球はもっと内寄りに入った。これ、たぶんイムに錯覚が起きてたと思う。

クリーンヒット。

韓国野球の完成度は高かったけれど、ホーム送球だけはまだまだ発展の余地があるかな。

決定的な2点が入った。

んで、その上イチローが盗塁したでしょ。あれで完全に心を折ったね。

ていうか、あの時点ですでに40球いってたし、救援での40球は最初から全力投球である分、先発の100球に匹敵する。交代させるべきだったけど、交代させる選手がいなかった。そこが勝敗を分けた。

ああ、しびれる。

しかしやばい。眠い。

語り足りないけど、ものすごい語れる要素のある試合だった。

明日早いのに、でも、酒が入ったってことで、書いた。

良い勝負で、っていうかよい勝負に勝って、気分がいい。両チームに拍手。