打ち切り/夢日記
*夢日記*081206.sat
(全編、漫画です。)
「この学校には何かある」
主人公は呟く。
「なぜなら……こんな生き物がいるからだっ!」
そう声を荒げながら主人公は注に浮いている生き物?を指差した。
「いや、そんな漫画みたいな驚き方するなよ。俺はただのドラゴンだぜー」
その猫くらいの大きさのドラゴンはちろちろと火を吐きながら笑う。
「いやいやいや、待て待て。いるのがおかしいし、俺にしか見えないのもおかしいし」
主人公は青ざめながら手を顔の前で振った。
「そういうわけで、怪しい学校の実態を探るべく生徒の立ち入りが禁止されている区域に来てみたのだが……なんだかもう学校というよりは化学プラントみたいだな」
主人公は下から見られないようにかがんでキャットウォークを通っていく。
プラントのような場所を通り抜けて階段を降りていく。
「地下か……怪しさ満天だな!」主人公は鼻息も荒い。
と、踊場から地階の梁の上になにやら意味ありげな箱が置いてあるのが目に入った。
「おや、あれはなんだ?……怪しい、怪しいぞ!」
主人公は足早に階段を降りた。そこは、何も無いだだっ広い部屋だった。
「何も無い!しかしさっき見えた怪しげな箱が気になるぞ……うーん、真下からでは見えないけどこの辺に……」
主人公はその場跳びで梁へと手を伸ばすが惜しいところで届かない。
「いいところに目を付けましたね!あの箱こそが次の段階に進むのに必要なアイテムなのです!さあ、力を振り絞ってゲットするのです!」ドラゴンはのんきに応援している。
「くっそ、とうっ!やあっ!はあっ!」飛び跳ねる主人公。若干作画崩壊している。
「うりゃああ!」努力の甲斐あって手が梁に触れた!
ドムッ…もこもこもこ……
どこかで聞いたことがある効果音とともにアイテムが現れた。
「こっ…これわっ!」ドラゴンが驚く。
「バスケットボール部のユニフォーム!」主人公はその意外なアイテムを手に取った。
「なんと!これは第二部をクリアするために必要なアイテムであるはずなのに、裏技でゲットできてしまいました!」ドラゴンの詳しい解説とともに、主人公がバスケットボールをしている映像が映し出される。(どどんどどんど、リーバウンド!リーバウンド!)
「待て。これってバスケ漫画だったのか?」主人公は素朴な疑問を発するがドラゴンは聞いていない。
「これさえあれば第二部はクリアしたようなものです!しかし、まだ第一部を進める鍵を入手できていません。そしてそれはあなたの読みどおりこの上の宝箱に入っているのです!さあ、宝箱をどうにかして入手するのです!」ドラゴンはあさっての方向を指差して熱血している。
「あー、へいへい」主人公の熱意は少し減退しているようだが。
「とうりゃあ!」主人公は飛び上がり、梁を掴んでぶらさがった。
「おお!すごい!」ドラゴンは感嘆の声を上げる。
「ふふん。この短期間ながらコツを掴んだ気がするぜ」主人公も得意げだ。
「第四部の必須アイテムをゲットです!」ドラゴンが怪しげな首飾りを取り出した。
「待て。なぜそうなる」主人公はぶら下がったままドラゴンに質問する。
「梁を掴んでジャンプ力の成長を示すことでこの『ジャンプの証』が……」ドラゴンは厳かに説明する。
「じゃあ、こっちとかに行ったらどうなるんだ?」主人公は宝箱とは逆のほうに梁を伝っていく。
「ああ!そっちに行ったら……!」ドラゴンが悲鳴に似た声を上げる。
梁を反対側の壁まで移動すると、壁から少女の姿が現れた。
「この女の子が着ている鎧……つい今さっきまで見ていたような……あ!」
「そうです!それが私の本体なのです!実はこのドラゴンの体に封じられて……いや、これは第10部で明かされる秘密なのにー!なんてひどいネタバレバグがー!」
「そうかー、お前がヒロインだったのかー」
「ちょっと!展開早くない!?」
「大丈夫、大切にするぜ」
「あれ?なんでまとめに入ってんの?第一部は?あれ?ねえ!?」
「俺たちの戦いは今終わったばかりだ!」
アオリにはこう書いてある。
「藤崎竜先生の次回作にご期待ください!」
俺は思った。
「フジリューならありうる」
と思ったら続きがあった。
「そこまでだ!この漫画は終わらせんぞ!エンディングは中断だ!」体育教師が拳銃を乱射しながら乱入してきた。
「くそっ!ここは逃げるぞ!」主人公は窓から飛び降りる!
「待って!ここは4階だよ!」ドラゴンが悲鳴を上げる。
「大丈夫!」主人公は落下の途中で3階の庇にいったんエルードし、そしてまた落下する。
これを繰り返して地面に到達した。
「なんて無茶を……!」ドラゴンは心配げである。
「ふっ……俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!」
やっぱり打ち切りだった。
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ねーよ。
なんというダッシュなメタ展開。
……メタるぎあ。ごめんなさい。
ていうか、藤崎竜先生に失礼な話。すみません。
藤崎先生はきちんと風呂敷たたんで打ち切られるから!←おい
ま、個人的にはこれくらいカオスな打ち切り作品も見てみたいのだが。
藤崎竜といえば、こないだブックオフで文庫サイズのフジリューの短編集3巻を見かけたが、断崖絶壁が無いなんてそれはちょっと認められなかった自分がいる。