ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』(ハヤカワミステリ文庫)/小説感想

3月29日深夜0時ごろ読了。

有名なミュージカルの原作である。

舞台がパリのオペラ座であり、きらびやかな舞台と暗くじめじめした地下空間との対比で視覚化して成功というのには納得。家にDVDがあるので見るとしよう。

筋としては、あとがきにも解説されているがあまり主役がはっきりしない面がある。地下空間や怪人とヒロイン、そして子爵の人物像の作りこみは良いのだが、そういう面ですんなりとのめり込みにくかった。

かなりオーソドックスなオチである。が、その感じ方は順序が逆というものだろう。

物語の筋などほとんど神話の時代に出尽くしていて、それを現代風に焼きなおすのが作家の仕事である。

その意味で、時代を超えていく作品とは、流行作品とは異なる価値があるのだが、この『オペラ座の怪人』についてはむしろ映像化作品が時代を超えていて、それに小説の評価が付随しているように思われた。

つまり、小説は別に読まなくてもいいかな、と思った。視覚化したものの方が重要そう。

当時としては格別だったのでしょうけれどね……。