心霊医術拳法の使い手/夢日記

DATE::080116.wed

タクシーに乗っていると信号待ちの間に左側の前部ドア、後部ドアの両方の窓から一人ずつ人間が飛び込んできた。

「ちょっ…!?なんだおま…」

「はいはい!奥に詰めて!運転手!発進!発進!!」

「お客さん、困ります…」

「死にたく無かったら発進する!ほら!青信号よ!」

クラクションを鳴らされて運転手が職業意識的反射で慌ててアクセルを踏む。

後部座席の俺の隣に飛び込んできたのは紅色に染め抜いたシルクのドレスのようなものを着た女で、前部助手席に乗り込んで来たのはラマ僧のように布をまとった坊主頭だった。

「これでなんとか逃げ切れるといいですね、尊師!」

女は後から坊主頭に声を掛ける。

「そ…尊師ぃ?」

俺は思わず不審の声を上げる。すると女は俺をキッと睨んだ。

「そう!こちらの御方は我ら愚民には到底成しえない奇跡を行う超常の力をお持ちなのだ!」

そう言う女の顔は誇らしげだが俺は心の中で美人なのに勿体無いと思った(いつもの夢なら自分が超能力を持っていてその力を誇示しがちなのに、自分が力を持っていない設定となると急にこれだ)。

そんな俺の軽蔑の目線に女は怒気を顕わに何かの言葉を浴びせかけようと口を開いたのだが、その瞬間に俺の背後で大きな衝突音があった。

俺が振り返ると俺の側のドアに山田花子似の女がへばりついていた。もちろんタクシーは走行中である。そして、力任せにドアを剥ぎ取って道路にポイ捨てし、そして俺の腹、ちょうど盲腸の当たりに左の拳を突き立てた。

痛くは無い。血も出ていない。どうやら拳は刺さったのではなく、心霊医術みたいに物理的な常識を無視して腹に入っているらしい。重ねて言うが痛みはなく、ただ腹の中を探られているような感じだった。

だが、探っているような感じは最初の一秒だけで、次の瞬間俺は腹の中でその女がまさぐっていた手を握ったのが解り、はらわたを掴み出されるのだと気がついて慌てて抵抗を開始した。

でも、小腸を引っ張り出された。

そして、クリーンヒットした俺の渾身の蹴りで女は吹っ飛び、俺の小腸はロックを外されたワイヤーのようにすごい速さで道路に打ち放たれたのだった。

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これくらいのグロさは、まあ、普通か。