襲い来る亡霊とか/夢日記

■070730.mon■

現在地は真夜中の高校である。

なんというか、年甲斐も無く高校時代に戻りたいとかそういう願望の結果かと思われるかもしれませんが、校舎はボロボロだし一緒にいる連中は学生服じゃないし、どうも空気がおかしいです。窓の外の夜空には星一つ無く、電気の明滅がゆっくりとしたリズムを刻み、さらには洞窟を吹き抜ける風のような音と奇怪な甲高い笑い声が聞こえます。

「これ……なんかやばくないか……?」男が言います。こいつは普通の二枚目だな。ドラマで主役はれそうな男だ。“二枚目”と呼ぶことにしよう。

「うん……はやく出ようよ……」女の子が不安そうに同意します。この子も普通にかわいいな。髪を後ろでまとめているところがいい。“ヒロインさん”と呼ぶことにしよう。

「ちょっと待てよ!窓の外を見ろ!」そう言いながら窓の外、グラウンドの方を指差したこいつはちょっと背が低くて小太りだ。“小太り”と呼ぶことにしよう。

「きゃ~~~」窓の外を見て素直に悲鳴を上げる女の子。眼鏡を掛けているので“メガネさん”と呼ぶことにしよう。しかし、それにしてもステレオタイプなメンバー構成だな。

「なんだこりゃ……校庭は…幽霊だらけじゃないか!?」二枚目と似たような背格好の男が驚きの解説セリフを呟く。ライバルキャラだな。“ライバルくん”と呼ぶことにしよう。

さて、そんな連中に僕を加えてライトなテンションのホラーが始まります。(以下、ややグロ?注意)

さて、そんな驚きおののき山椒の木な連中の前に、見るに恐ろしい骸骨マント男が青白く輝きながら現れます。

「ようこそ、夜の学校へ……これから君たちとゲームをしよう」骸骨はそう言います。もっと色っぽい夜の学校の夢が見たいですよ、個人的には。

「武器はあげよう、そして私たち血に飢えた亡霊と戦うのだ。無事勝って逃げおおせたら君たちは自由だ。もし負けたら君たちは地獄の苦しみを経てわれらの仲間となる。どうかね?……と言っても君たちには選択の余地は無いのだがな……ふはははは」血なまぐさい話なのにやたら楽しそうだ。というか、ベタすぎ。脚本の書き換えを要求する。艶(略

笑い声を残し、霧が掻き消えるかのごとく骸骨は去った。骸骨が消えると同時に全員の目の前に刀が突き立つ。これがやつの言う武器か。しかし、われわれは事態を飲み込めないまま立ち尽くし、武器を手に取ろうとする者は俺しかいなかった。俺、こういう状況に慣れ過ぎ。どんだけこんな中学生っぽい夢見慣れてるのよ?

とまあ、そんな場慣れした俺がうるさい笑い声が消えたタイミングで他の連中にも刀を手に取るように勧めようとした矢先、「ガオー」というか「バオー」というか、まあ、そういう類の獣の声とともに牙を剥き出しにした半人半獣の亡霊が廊下の向こうから駆けて来た。廊下を覆わんばかりにでかい。これは逃げるしかない。

泡を食って逃げ出す僕ら。刀を手に取ったのは二枚目とライバルだけというお粗末さ。刀は軽い。この世の物ではないのだろう。だから割とだれでも扱える親切設計っぽいのに、女の子二人と小太りはそれを置いてきてしまった。なんと勿体無いことか!

しかし、現実として獣の動きは早く、廊下の端っこに現れたと思ったらあっという間に追いつかれそうになる。僕らとしては最初の曲がり角を曲がるよりほかに選択肢は無く、そこが階段だったのを幸いとして階下に下りていく。

階下は1階だった。階段を下りて正面がドアだったのでそこから出ようとするが鍵が掛かっている。

「くそっ!おかしな力で鍵が掛かってるのか!?」と二枚目が叫ぶ。

いや、よく考えたら鍵が掛かってないほうがおかしいよな。俺ら侵入者だから。

それはともかく、ドアのガラスを通して姿を認めたのか、グラウンドにいた亡霊どもの群れがするするとこちらに近づいてきた。そして、窓ガラスを擦り抜けて僕たちに手を伸ばす。

「に……逃げろっ!」ライバル君が声を張り上げる。僕らは隣の教室に逃げ込んだ。が、そこは何だか他の亡霊どもとは雰囲気の違うやつがいた。

それは、女だった。室内だというのにパラソルを掲げ、ケーキにつばをつけたような帽子はオレンジ色、唇は青く顔色は青白く、瞳は青く澄んではいるが人を見下し、ほんのひと時の手遊びの材料としか思っていないことを確信させる冷たさをたたえている。金髪は口のラインで短く切りそろえられているが、少しウェーブがかかって末広がりになっている。服も帽子と同じ極彩色で、オレンジ色をベースにピンクをワンポイントに使ったワンピースのスカートをはいている。袖は短く二の腕の中ほどまでを覆い、そこから先はシルクの滑らかな白手袋をはめている。スカートはくるぶしがわずかに見えるくらいのロングで、スカートの下もどうやら手袋と同じ白いストッキングであるらしい。そして、靴は赤いハイヒールだった。

…という、ちょっと変わってるけど美人さんなので眼福っちゃあ眼福なのだが、この状況じゃ暗闇の中ににわかに浮かび上がったオレンジ色の鬼火と何も変わりなく、しかも一言目が

「じゃあ、殺しあいましょうか?」

で、このセリフから一呼吸も置かずに教室の壁から赤や黄色やオレンジの球体が飛礫のごとく飛来する!

しかしそこは夢の世界。しかも今回はご都合主義的展開が許されている。こういう展開で重要なのは「斬れる」イメージであり、小学生時代から幾度と無くこんな夢を見ている僕に斬れぬものはない。一刀の下にすべての敵弾を両断し、返す刀でその女幽霊を斬る。返り血も無いから人も斬り慣れてるな、もはや。

しかし危機は続けてやってくる。

足元に次の幽霊が現れた。見た目は腰から上しかない赤ん坊だが、年寄り臭い口調で「なかなかやりおる」だの「だがわしはそう簡単にはいかんぞ」だの「これでもくらうがよい」だの言うので、いきなり脳天に刀を突き立ててやった。それでも「おのれきさま」だの「のろいを受けよ」だの「はらわたに手を突っ込んでかき回してくれるわ」だの言うので、脳天から刀を抜いて横隔膜の辺りで両断して胴体を更に短くしてやり、それだけでなくトドメとばかりに心臓を刺し貫いて床に縫いとめてやった。そうするとようやくこいつも掻き消えた。

グロ描写に後ろで女性陣が悲鳴を上げているが気にしない気にしない。

俺だってご都合主義的展開じゃないときは、ハラワタどさどさとか髄液ぽたぽたとかやってるんだよ。やられるときはやられちゃうんだからやれる時にやっちゃっとかないと。

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そんな夢を長々3時間くらい見てました。