「、」と「。」 ; "," and "."/daily

理系の論文において、「、」と「。」ではなく「,」と「.」を用いるように指示されているケースが多いように思う。

そもそもこれらの句読点はそれぞれの文字が発生した文明圏における筆記具に依存した形態をとっている。

つまり、「、」と「。」は毛筆での筆記、「,」と「.」はインクペンでの筆記である。

「、」は始端は鋭く始まり終端は丸く止まる。「。」は毛筆で小さく円を描く。

「,」はインクが丸く染みた後に鋭い尾を付ける。「.」はインクが染みた丸のままである。

どちらもそれを記すための道具の特徴を示しているのだ。

そして道具の特徴が秘められているのは句読点以外の文字についても同様である。

漢字やひらがなには毛筆の、アルファベットにはインクペンの、名残がある。

単なる区切りの記号としての意味以上の違いに着目すると、和文と「,」と「.」とは一貫性を持ち得ないのである。

更に言えば、「、」と「。」の方が和文の中にあっては視認性が高く、また、鉛筆等では書きやすい。

まして、今はキーボードタイピングによる入力の便宜を考えるとなおさら「、」と「。」の方が、変換に手間取らない分だけ利があるはずである。

逆に、英文の中に「、」と「。」だと、インクペンの名残たるシャープなラインのフォントに対して野暮ったく見えてしまうだろう。

たかが記号、されど記号。

機能以外の文化的な意味も少しは考えてはどうかと思う、この論文シーズンなのでした。

(追記070914)

…とかなんとかエラそうに書いてたら…

言葉拾い:句読点

がーん!

なんと、句読点は欧米文を訳す上でコロンとセミコロンに対応するものとして、明治以降に使用されるようになった約物だったのです。

知らんかった……。勉強になった……。

でも、例によって、まいっかの精神でこの記事を残す。

見た目的に、横書きだろーが縦書きだろーが、和文には句読点を推し続けるぜ!