インサイダー/時事

福井日銀総裁の投資に関わる問題。

なんだか論点がずれている気がします。

確かに、個人窓口があったとかは良くないですが、日銀総裁が投資すること自体に批判が向けられているような感じがします。

しかし、原則的に言って、日銀総裁であろうが資産運用は個人の自由でしょう。

年金だって資産運用だし。資産運用できなかったら誰でも困るでしょう。

ただし、日銀総裁は立場上、市場へ影響力の高い意思決定を行い、必然的に極めてインサイダーな情報に触れる機会が多いです。だから、日銀総裁になった瞬間から全ての投資資産を操作する行為はインサイダー取引に近い不透明な印象を与えてしまいます。

よって、日銀総裁になった瞬間に、その人が投資している資産は職業倫理的に以後日銀総裁を辞職するまで全く動かす事ができなくなる、と解釈すべきでしょう。

この論議の根本が、報道では明確になっていない気がします。

(ま、論議の根本を考えずに、流れで報道しちゃうってのはマスコミに良くある事ですけど)

さて、今回の福井総裁の場合ですが、村上ファンドの逮捕の直前の2月(ライブドア事件からの流れですので直前と言って構わないと思います)に、村上ファンドで運用していた資産を引っ込めた、というのがアウトです。

実際に、捜査の可能性を耳にしたかどうかは、確かに犯意のレベルでの故意か不意かの法律上の判断には重要ですが、道義的責任のレベルにおいては無関係です。

李下に冠を正さず。

疑わしき行為をした時点でその地位には不適格です。

福井総裁は潔く辞任すべきであると考えます。