Yahoo!文学賞レビュー1
随分前に予告していたYahoo!文学賞最終候補作品のレビューを、今日まとめてアップします。
なぜ今日なのか?
それは一応、道理としては個人的な批評は投票が締め切られるまで待つべきだろうと考えたからです。
それで今週までアップを控えていたのですが、年末って言うのはどうにも忙しくて、とうとう今日になってしまいました。
ええまあ、逆に言うと、論文が大変なのに何やってんだよ、って感じです。自分でもそう思います。
では本題。
レビューは5つまとめてアップしています。そして、この記事が一番上に表示されるはずです。レビューはかなり長い記事ですので、「続きを読む」に大部分を格納しています。また、大まかな三段階の星取りを示しておきます。
5作品は評価の低い順に並んでいます。一番最後、一番古い時間を持つ記事が僕が投票した『アシタ』のレビューです。『アシタ』のレビューには簡単な総評も付いています。
また、この記事を読んで興味が湧いた方は、投票は締め切りましたが作品はまだダウンロードする事ができますので、そちらのページも参考までに→Yahoo!文学賞特集ページ
では、早速最初のレビュー、そらときょうさんの『キヨコの成分』です。悪しからず。
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■そらときょう『キヨコの成分』
5作品中最下位、5位の評価です。
アイディア:★・・
物語展開力:★・・
文章スキル:★・・
作品の空気:★★・
詳しい評価は続きに↓↓↓
まず言及しておきたいのはこの異様なまでの読点“、”の多さ!
これはもしかして語り手“わたし”がキヨコの死に動揺してつっかえつっかえ語っているという演出か?・・・と好意的な解釈も試みましたが、全編で多いわけではないし、そういう描写も殆ど無いので、演出ではないみたいですね。
とにかくこの読点の多さのせいで一々読んでてつっかえるので、すごく物語にのめり込みにくいです。
僕は絵本などの朗読の経験が結構あるので、どうしても本を読むとき頭の中で音読してしまいます。
句読点は息継ぎの場を示す意味のある記号として認識され、読点では必ず一拍間を入れてしまうんですね。
そういう読み方をしていると、長い文で息が切れるのはもちろんですが、読点が多過ぎても逆にリズムが悪くて読みづらいのです。
また、句読点は文章の印象に大きな影響をもたらすという事も頭に入れてください。読点の位置一つで文章の印象はがらっと変わってしまいます。
そうですね。例えば、
<私は、あなたが好きです。>・・・一番普通な言い方。
<私はあなたが好きです。>・・・早く、全部を一息でさっと言い切る感じ。
<私は、あなたが、好きです。>・・・一つ一つ確認するように話す感じ。
<私はあなたが好き、です。>・・・読点の前までのフレーズを確認する感じ。
・・・といった具合です。何か基礎な気がしますが。
句読点は文章のリズムと意味を決定する重要な要素です。伊達や酔狂ではありません。この点、もし意識していなかったのであれば、これから少し気をつけてください。
それ位で文章にはこれといった特徴は無かったように思います。
体言止めと倒置が多かったかな。ま、それも小説の普通の文体の範疇でしょう。
プロットは平凡に感じました。起伏も少ないですしね。
始めっからどことなくキヨコは嫌われて無いなって感じがするし、カタルシスはそんなに大きくない。
そんなほのぼのもたまには良いかもしれませんけど、あくまで“たまには”です。単独作品でこれでは少し苦しいと思います。
まあ、設定されたテーマが平凡ですから(平凡なテーマほど難しい)仕方ないかも知れません。