子猫殺し/News

日経新聞18日付夕刊の「プロムナード」で坂東眞砂子氏がとんでもないコラムを書かれたそうですね。

僕は当日読んでいなかったのですが（読んでいたら即取り上げていたと思いますが）、引っ張り出してきて読みました。

成程、理屈は理解した。

氏は、氏のエゴに従って猫を愛玩動物として飼う。

そして飼っている猫の「生」の充実として交尾を是認する。

しかし、生まれた子猫は飼い猫ではなく、野良猫となる。

野良猫は社会的に忌まれる存在であり、責任は取らねばならない。

よって避妊手術より段階が遅れるが、子猫を殺す事で「野良猫を我が家の猫から出さない」状態を維持する。

ということだそうだ。

確かに、交尾の前と後で子種が殺される事には違いない。

僕も避妊手術は出来る事なら避けて欲しいと思う。

が、一つの反論として、母猫の母としての「生」の充実を見過ごしている点を指摘したい。

母性に価値をおくのは人間の価値観によるところが大きいというような、そういう意味の指摘ではない。交尾とは生殖の一過程に過ぎないのであり、それは交尾から妊娠、出産を経て育児まで含めての一つのプロセスである。このうちの交尾だけを取り出して「生」の充実を語るのは、あまりに浅はかではないか。そういう意味である。

むしろ、生殖という過程の中で交尾に殊更に価値を置くということは、性行為に過剰な価値を置いていると取る事も出来るが、如何だろうか？

とりわけ哺乳類においては、育児という過程が重要である。

それを取り上げておいて「生」の充実とは、片腹痛い。

さて、このコラムを掲載した事について、日経は何ら批難されるいわれは無いと思われる。

確かに、非常識ではあるが、作家の表現によって読者の常識を試すのも芸術の一機能である。

公序良俗に反しているとも言えるが、保健所で間接的に社会が殺している犬猫のことを思えば、直接殺している坂東氏よりも我々の方がよっぽど卑怯であるという考え方も出来るわけだし、大して批難できるものでもない。

そもそも野良猫・野良犬の何がイヤなのだろう？

糞をする？夜うるさい？

でも、どう考えたって歴史的にも猫や犬が身近に居る暮らしの方がノーマルだし、生きているんだから糞もするし、死体になって転がる事もあろう。掃除すればいいことだから、そんなに目くじらを立てる事もない。うるさいってのは、神経質になりすぎなんだと思います。

野良猫とか野良犬って言うのは、環境です。

環境に合わなきゃ引越しされたらどうです？

糞を踏んだなんてつまらない事でくさくさするなよ。足元見てないおまえが悪い。というより、糞を踏んでもばい菌が入らないように靴を履いているのにね。

返す刀になるけど、動物愛護団体も嫌いだ。

動物を快楽で殺すのは僕も許せないが、生きるために殺すのなら別だ。それは正当な生存競争の結果として認められるべきだ。

ミンクのコートや鰐皮のバッグを身にまとう事や鯨肉を食べる事を批難したいのならば、「かわいそう」などという感情に訴えずに理性に訴えかけるべきだ。こういう無意味な擬人化は好きじゃない。

現状貴重な装飾品や食料品の原料となる生物は、その生息数がかなり限られてきている。生態系のバランスを考えると、これらの生物の生息数の回復は必要な事である。そんな現状を無視して、己の欲求を優先することが果たして文明的な人間のとるべき行動か否か？衒示的消費は蔑まれるべきだ。

そういう訴えかけをするべきだろう。

つまり、価値観を変えるムーブメントであるべきだ。LOHASみたいなヤツ？

ちなみに、日本の捕鯨は別に止めてもいいと思う。

文化的って主張するなら、それこそトロールとかじゃなくて文化的な船で捕りに行くべきじゃない？

そもそも、打ち上げられた鯨の肉を食うことの方が多かったんじゃなかったっけ？

どっちにせよ、牛や豚や鶏でたんぱく質を補給している現代人が敢えて鯨を食す正義は無いと思うな。

というわけで、日経以外はざんばらんと切り刻んでみました。