本塁打が少ない理由を推測する/Hawks

長谷川 初スタメン 王監督大抜擢 松中みたいな打球(西スポ080422)

チーム本塁打が少ないこと(トップの西武24本塁打の半分、12本塁打)を嘆いておられる王監督ですが、また「引っ張りタイプ」の打者に目をつけられた模様です。

僕の推測では、その「引っ張りタイプ」のせいで本塁打が少ないんだと思っているんですがね。

王監督自身、現役時代は相手チームに「王シフト」という戦術を取らせるほど左打者にとっての右方向―いわゆる「引っ張り」の打球が多かったと聞きます。なおかつその「王シフト」をあざ笑うかのように右翼への本塁打を放っていた、とも。

しかし、当時と現在では投手の質が違うために、引っ張りだけで成績を残すことは難しいと思うのです。

ひとつは変化球の増加。

王監督の現役時代はカーブ、スライダー、シュートが主で、フォークはごく少数の投手しか投げなかったと聞きます。

ところが、佐々木投手と上原投手の登場でフォークがかなり増え、それから90年代後半からチェンジアップが高校野球で流行してプロでも定着しました。また、スライダーも多様になり、横スライドだけでなく縦スライドも多用されるようになりました。

これらはいわゆる落ちる球であり、また、チェンジアップにあってはタイミングを外す球でもあります。

王監督の現役時代、落ちる球はフォークかカーブ、あるいは使い手が少ないシンカーしかなかったのですが、今はこれだけあります。

落ちる球は、タイミングが早い引っ張りタイプの打者の天敵で、簡単にくるりとバットが回ってしまいます。よって、これらの落ちる球に対応するために、日本でも球を体の正面までひきつけて打つ打法が流行しているのですが、この打法においては「外角は反対方向に流し、内角は引っ張る」というのが基本的な考え方で、「引っ張りの打球」は結果的に引っ張りになったという捉え方が正しいのだと僕は理解しています。(アメリカではたぶん、カットボールなどの微妙に変化する球への対応のためにこの打法になったと推測しますが、余談)

それは、外角の球を引っ張るのなんて無理です、ってことなんですけど、ホークスの選手は王監督に引っ張りを要求されるので必然的に内角を狙うことが多くなるのです。

そうすると相手捕手は外角を中心に配球を組み立てます。内角はボール球で、外角は低めにストレートと落とす変化球を出し入れするという配球です。

そうすると、外角の球を反対方向に流す、

「上(1軍)では結果を求めて(球に)合わせようとしてしまうけど」(王監督

にならざるを得ないわけです。

だって、外角を打っていかないと内角にストライクになるように投げてくれないですから。

内角の球は投手にとって怖い球です。打者に当てないように投げたつもりがど真ん中、というパターンが多いですから。しかし、打者が本当に打てないのは内角ぎりぎりの球なのです。だから普通はベースから離れて立つ。すると投手は外角に投げる。良い打者はベースに寄って外角を打つ。すると良い投手は良い打者を抑えるために内角に投げ込んでくる。

今のホークスで内角で勝負してもらえている打者は柴原くらいですね。松中も復調した結果少しそういう攻めをされることが増えてきました。でもそれ以外はほとんど外角攻め。それくらい外角を打てていない。だから内角に投げてこない。内角の失投でど真ん中という球が来ないから引っ張れない。だから本塁打が出ない。

極めて明快な論理だと思います。

もう一つ加えると、王監督の時代よりも今は外角のストライクゾーンが広いはずです。だから、外角を流せることが打者の成功の秘訣になっている。(しかしそれでも国際標準よりも狭い。よって投手は多用な変化球を駆使している。ダルビッシュとか田中将とか。)

アマチュアの投手に比べてプロの外角はコントロール、球威ともに段違いと言われ、打者がプロの投手に適応する場合にはまず外角の球への対応が問題となります。それを克服して、ようやく一人前というのが今のプロの打者の認識ではないでしょうか?

(と外角攻めの効用を認めつつ、田上のリードを外角偏重であると批判しているのは、それが相手打者の狙い球を無視した上での外角偏重だからです。だから四球と右方向の打撃で効率よく点を取られる。逆にホークス打線は(以下無限ループ))

その認識が無い時点で王監督はちょっとずれてしまっているという感じがします。

本当に認めるべきなのは、それでもチーム打率が2割6分を超えているという点なのに。

それから、細かいことですが最近、試合経過の詳細な記憶が鈍かったり(「(失点は)本塁打の点だけか(実際には適時打1本あり)。」王語録080428)、最も重要であるカード勝ち越しor負け越しの認識が甘かったり(「(記者)5カードぶりの勝ち越し (王監督) それまで負けてたの? 1勝2敗、1勝2敗か。」王語録080413)と、野球脳の衰えが感じられるのが心配です。

ファンとしてあまり居心地のいい状況で無いんですよね……はぁ~あ。

長谷川に対して楽天・嶋捕手は外角攻めで3打席ほど黙らせた後、試合展開によっては内角への反応を見るために一打席内角攻めしてみる、という感じでしょうか?