大臣講演/daily

隣に座っていた研究室の同輩が「書け書け」って言ってたので書く。

まあ、一応は珍しい経験の部類に入るだろうし、情報としては多少の価値はあるだろう。

今日は16時くらいから泉国家公安委員長内閣府特命担当大臣(防災・食品安全)による講演会が東区箱崎九州大学工学部本館(今は教務課が入っている)にて行われるということで、西区元岡の伊都キャンパスから貸切バスに分乗して行って来ました。

バスは14時30分発で、土木水工の各研究室から教授などの職員や各研究室から6名というノルマによって集められた学生が大型バス3台、マイクロバス1台に分乗したわけです。

俺が考えたことは、

「バス4つと職員連中の14時30分から17時までの給料とあわせて一体どれくらいの額が掛かってんだろう?そしてそれに見合うお話を聞かせていただけるわけだろうか?」

とかでした。

土木水工16講座あって、教官の数は……数えるのめんどくさい…ていうか憶えてないや。

そして各研究室から集められた連中も、この論文が大詰めの時期に時間を割きやすい修士過程1年および博士課程の学生を動員している……。

これだけの頭脳を拘束するんだからこれはちょっとやそっとのことでは採算が取れますまい…俺が博士課程とは名ばかりなことはちょっと措いといて下さいorz

さて、バスに40分ほど揺られて懐かしき工学部本館へやって来ました。

九大土木卒業の泉大臣もここで学ばれたそうです。九州大学では医学部の次に古い工学部が入っていた建物ですから当然です。この建物、西区への移転に伴って無くなるかもしれません。勿体無い。というか、大学の歴史を大事にせずに何が「西洋の大学に負けない学研都市を」になるというのか!?

閑話休題

事前に連絡あったとおり、胸元に黄色いシールを貼った人間は受付なしで館内に入れました。おそらく国家公安委員会の委員長だからでしょう、けっこう警備の方がいらっしゃいました。そして、部下に「おい!ちゃんと胸元のシールチェックしろよ!」と叱咤しておりました。

…確かに、ぞろぞろと私服の学生が入ってきてますからちょっと警備しにくかったでしょうな。

警備の方はしっかり仕事してましたね…っていうか、うちの学生が仕事を増やしてました。

「携帯電話を充電されているのはどなたですか?没収しますよ?」

…よりにもよって壇上の隅のコンセントで充電していた女の子。状況分かってなさすぎ。

ほとんどゼロに近い可能性まで含めて行わなければならない要人警備。安全と思われがちな“学校”での警備が一番難しいのかもしれません。

さて、10分遅れで大臣ご到着。

うちの学科の元締であるところの教授から本日未明4時まで国会が審議されていたことが話され、多忙がアピールされる。そして略歴。大先輩であらせられます。

そんなこんなで本日の講演「このごろ思うこと」に入ったわけです。

…本当にこんなタイトルだったんですよ?いいタイトルだと思いますよ?自由に話せますから。

で、最初は現在が明治維新、太平洋戦争敗戦に続く日本の重大な変曲点であるという話に始まり、そこから日本人がいかに工夫が上手い民族であるかという話を着物の進歩やロボット工学を挙げながら話し、それから人口減少と海外からの派遣労働者(フィリピンの看護婦さんね)受け入れに対して泉大臣は慎重派であるということ。青少年の悲惨な犯罪が多くて教育問題も考えなくてはいけないとか、奨学金を返還しない卒業生が増えているとか、まさかこの場にいる後輩たちはそんなことはしないと思うが…とか、モンスターペアレンツの問題など社会正義についても語っておられたな。その場にいた若者たちが立場的に日本を引っ張っていくことを指摘し、将来を見据えるために過去を良く知ることとか言ってた。その関連で沖縄の集団自決が軍の命令であったか否かという話がでてきて、専門家はここにはウン万人もいないと分析しているとか、警察からも報告書がでているがここでは数字を話すことはできないとか、そういう話をしておりました。

そして、10分予定をオーバーした講演は最後にお勧めの本を3冊(…といいつつ2冊しかでなかったような気がする)を話して終了だった。

うーん…まあ、なんというか、ちょっとした愚痴をしゃべって帰られたのかな?

すごくまあ、一般的な議論というか、どっかできいたことがあるなぁという印象で、目新しくもなく、大きく間違っているわけでもなく、「ああ、この人は本が好きなんだなぁ」と思ったり、「安保改正の際に私は賛成するほうで活動してたんだ」とかおっしゃってたような気がしたり、まあ、そんな具合で、割と、退屈でもなかったし、刺激的でもなかったです。少なくとも眠くはならなかっただけマシ。

高校の大先輩の山崎拓ty(ry

で、最後のうちの学科の元締のまとめが

愛国心や歴史を…」

…それは自分が面白かった部分だけとりあげたでしょ?

ポイントそこじゃなかったと思います←若者側の捉え方

俺はだいたい反論を頭の3分の1で考えつつ、残り3分の1で人工知能を作る工程について考え、残り3分の1で今月の残りの20日のスケジュール配分を考えていた。

なので、覚えてない。ってか、メモがほとんど反論を考えたようで後で読んだらさっぱり分からん。3分の2の方のメモは読める内容なのにw

…え~、社会正義については、それは上から押し付けるものではなくて同レベルの人間の間―職場や家庭内―で絶え間なく相互に警告しあうことによって醸成されるものだ。たとえば、飲酒運転に対するモラルは職場がそれを許す空気であるのか?という点が最も大きい。別に厳罰化うんぬんではなくて予防のレベルではそういうものだ。それはモンスターペアレンツについても同様のことが言えて、PTAという場や親だけでなく地域を含めた意見交換の中で“常識”ってのは作られる。今は全体に逃げ得、捕まっても平謝りして「金払えばいいんでしょ?頭下げればいいんでしょ?」っていう誠意の無い対応が当たり前になってる。

その意味で、自民党内でお歴々は相互に法令遵守を叫びあっておられるかってのを小一時間ほど(ry

沖縄の教科書問題については、記述だけで伝えるにはとても微妙な問題なのだから教師が教壇でその問題の機微を伝えるべきだ。全国共通の完璧な教科書を作れば完璧な教育ができると思っているのではないですか?

集団自決は軍の明確な指示があったかどうかは定かではない。何故なら、生き残りの方が少ないから。しかし、当時の日本人の認識の中に、鬼畜米英と言う野蛮で凶暴な外国人像があり、また、捕虜になるを潔しとしない“武士道的”精神の広がりがあったという背景を認識することが第一。第二に、頚烈な考え方を持つ人間が一人でもおり、そしてそれは男性であったろうし、であれば軍と何らの関係もなかった可能性は低い。よって、軍、あるいはそれに類する人物から自決を教唆する、あるいは誘発する発言があった可能性は高かろう。その火種が大惨事を招いたと考えることはできる。あくまで考えられるだけであり、教科書に載せられるほど学問的に正確なものでない。

だが、道徳的にはそういう状況をもたらした戦争と言うものについて学ぶことは重要だ。学問的正確さと道徳的必要性のギャップがあり、教科書は前者を担うことはできるが後者を賄うことはできない。この教科書の欠点を教師が補わなければならないのだが、それには教師を教育するシステムが必要であり、その意味で、現在の教育システムには不安がある。

この教育ってのが重要で、フィリピンからの看護師さん問題にも絡むのだけれど、医療と言う市場は国内で完結するものであり、そこに人手不足が生じていると言うのは他の職業に比べて魅力的でないか、あるいはその職業に就く条件が厳しすぎるかのどちらかである。医者と看護師と言うのは子供のうちな人気の職業なのに実際の高校レベルでの卒業選択には入りにくい。なぜかと言うと、医者は門戸が狭すぎる。そして卒業は割りに楽だが、近年は就学中に現場の医者ではなくて研究分野の広がりが大きいためそちらに吸いだされる人材も多く、“人材の圧力”が下がっている、という面もあるだろう。看護師は、高校生の時点で選ぶことになるのだろうが、大学に入れる者が目指すにはモラトリアムが無い不安があり、大学全入時代に大学に入れないような学生が目指すには不安があるのだと推測する。

つまり、高校生の時点でのキャリアプランニングが上手く行っていないんだな。だから、他の分野の大学生も大学生活をモラトリアム期間として捉え、大学がモラトリアム機関となってしまっている。奨学金はもとより国費を投じて大学教育を振興しようとしているのに、ポスドク問題やらなにやら書類上の数字を増やすことばかりに気を取られて、実質部分には全然力が入っていない。ものづくりが日本の強みだとするのならば、ものづくりの中心たる学部卒の質を向上させることが日本にとって重要であり、それを越える修士や博士はその学部卒を管理するジェネラルな考え方を育成するか、より先鋭化したスペシャルな研究者にするかの二極にすると効率がいいように思う。

そしたら、海外から労働者に来てもらう必要も無い…というか、日本には日本語と言うハードルがあって、英語教育もうまくいってなくて英語が一般的でないから、英語ができる技術者にとってはあんまり魅力的な環境ではない。だから、オイルマネーで中東に買われてっちゃうんじゃないかな?

日本はフィンランドアイルランドなどの北欧の国を見た方がいいと思う。あそこは教育に力を入れていて、そしてそとから労働者を入れなくったってちゃんと日本よりしっかりした国家運営ができている。

日本人って言うのは、ものづくりの技は上手いんだけれど、それを開発・運用する組織づくりが苦手で、それが政治化のへぼさや教育の地盤沈下やらに繋がっている。

ソフトウェエアもハードウェアも強いのに、成長戦略がなってないから売れない。

土木学科もまさにそうだと思う。

コンクリートや鋼構造、吊り橋の技術は素晴らしい。

しかし、都市計画は弱かった。ためにバブル期の暴走があり、そして今の過疎や過密がある。

空気読んで、希望的観測ではなくてフェイルセーフで将来を予測して、そして計画を立てないといけないと思います。

総括に印象を語るとすると、この御大尽は善良ではあるにしても至上ではないし、おそらく潔白でもない…といったところか。問題意識等にさほど問題はない。ただ、それを外に発信するだけでなく、身内と戦わせることができるのか?そしてその時にこの善良さは馴れ合いを生みそうだ、という印象でした。