'07シーズン反省会(序)/Hawks

本日のRKBラジオはエキサイトホークスに替わりまして解説・稲尾和久と実況・茅野正昌によるホークス大反省会をお送りしております。

このコンビ、やっぱ最高だわ。

僕もラジオを聞きながら一人反省会をちくちく更新して行こうと思います。

さて、ラジオによると和田と杉内が登録抹消されて、来週の先発が無くなったとか。茅野さんと稲尾さんはこれはクライマックスシリーズに向けた調整であり、すなわち、チームとしては残り試合で2位を確保するために遮二無二頑張るというわけではない、との観測です。僕も同感。

しかし、だとしたら今日の打線、もっと若手を起用して力量を見定めるという選択もあったのではなかろうか?

今日は小久保も欠場。クライマックスシリーズでもなるべく守備にはつかせたくないところです。ということは、小久保の打順は5番指名打者。4番には、残り試合王監督は「登録はしないと」公言している松中がぶっつけ本番で一塁に入ることでしょう。

さて、だとするならアダムの一塁起用はさっぱり理由が解らない。クライマックスシリーズでアダムが一塁守備につく可能性なんて絶無に近い。それをこの時期に試す理由が解らない。

2軍で好成績を収めた若手内野手の起用は無かったのか?

たとえ、登録直後に起用してノーヒットに終わり、かつ2死から失点に繋がる失策を犯したにしても、1塁を守れる吉本の起用は?登録したばかりの仲沢の起用は?

外野陣も、大村は万全ではない(万全ならセンターを守れるはず)。休ませてもよかったのでは?レフトには昨日も代打でタイムリーを打った井手がおります。

彼らに経験を積ませる意味での起用は無かったか?

クライマックスシリーズに目標を定めたことで、レギュラー陣は目前の試合に集中力を失っています。こんなときこそ、若手の貪欲さがチームに活力を与えるものではないでしょうか?

このように、選手起用における戦略的視点の欠落はシーズンを通して感じられたことでした。

日本ハムファイターズは「細かい野球」で連覇を成した、と言われます。

バントやエンドラン、右打ち。卒の無い積極的な盗塁、走塁。

しかし、これら戦術的要素は実は戦略的視点からの適切な選手起用が無ければ機能しないものなのです。

ファイターズの1番は森本。3割近い打率、30盗塁を記録する足に注目。そして、46四球を記録しています。出塁率は.358です。

2番は田中賢。打率は.251程度ながら50以上の犠打で森本を得点圏に確実に進める一方、自身も27盗塁を記録し、チャンスメイクという意味で申し分ない活躍。そして、43四球を記録しています。出塁率は.318です。

四球には二つの利があります。

一つはヒットを打たずに出塁できる利、二つは相手投手に球数を投げさせる利です。

どんな投手でも100球を超えるあたりからどうしても球威や制球が落ちてきます。できるだけ早い回に相手投手をそういう状態に追いやることは、試合を有利に進める要因のひとつとなるでしょう。投手交代が早まればあとは先発投手よりも質が低い可能性が高い中継ぎ投手の登場なので、これまた有利(先発よりも優秀な中継ぎはほとんど存在しません。なぜなら、優秀ならそいつが先発をやればいい。先発をやるスタミナが無いのならば、またまた球数を投げさせて早くバテさせてしまえばいい)。

翻って、ホークスの1番だった大村、打率は.314ながら出塁率は.341です。森本より打率が高く、出塁率は低い。それも当然。大村が奪った四球は僅かに9つ。

川崎は26四球、本多は35四球です。

1番、2番に限らず、ホークス打線は相手投手に球数を投げさせようと言う意志に欠ける面がありました。

野球で一番時間を費やすのはどのプレーか?それは投球です。投球数が多いほど守りの時間は長くなる。相手投手に投げさせる投球数が少ないほど攻撃の時間は短くなる。

お互いに無得点でも投球数の差が攻守の時間の差に繋がり、精神的には長く守っているほうが劣勢に立っている苦しい精神状態に置かれることとなります。

この点でも、四球を稼ぐことには利があります。

この論理により、大村は盗塁も11程度ですし、実は1番打者としてはあまり戦略的に有意であったとは言いがたかったと思われます。

(そしてそれは、終盤に本多-川崎の1、2番が機能したことも傍証とできると思います)

ファイターズの1、2番を例にこの戦略的選手起用から得られる戦術的利点を見てみましょうか。

場面はスコアはイーブン、中盤5回ワンナウトで打者は1番森本と想定しましょう。

森本が球をよく見て球数を稼ぎつつ、結局四球で出塁します。

次に打席に立つのは田中賢介。ファイターズの戦術は送りバントの可能性が高い。

しかし、対戦するバッテリーは実は森本の盗塁にも気を配らないと、隙をつかれる可能性があります。よって、丁寧に牽制をし、盗塁を刺しやすい高めのボールも増えます。

田中賢介としては、素直に送る選択が当然ですが、この高めの球を思い切り引っ張ると言う選択もありえます。田中賢介はバットコントロールの上手い選手ですから。

ま、結局は1、2球様子見して森本が走るタイミングがあるか探りを入れ、隙があれば盗塁、隙が無ければ4球目をバントするでしょう。

森本の盗塁が成功したならば、それまでに高めに外したりバント警戒したりしてカウントはボール先行になっている可能性が高いですから、田中賢介は四球で出塁という可能性もあります。こうして相手投手の集中力を削りながら攻撃は続いていくわけです。

ここで注目すべきは、この1、2番は相手の選択肢を狭めつつ、こちらの選択肢は多く持っていると言う点です。

(長いので次の記事「'07シーズン反省会(破)/Hawks」に続く)