心と骨/daily
骨格の歪んだ男だ。
一本芯が通ったなんてとても言えない。
目の前の相手に合わせてぐにゃぐにゃと姿を変える。
あまりに骨が無いために、軟弱な肉の塊と捉える方が正確であるようにすら思える。
目が覚めた時唐突に、そういう醜悪な生物である自分に気付くことがある。
ちゃんと背骨を伸ばしている時には気付きもしない。
だが、背骨が丸まっている時には気付く。
自分の背骨が、不随意に伸びているのではなくて、随意に背筋で伸びているのだということに。
だから、意志が弱まると背骨が丸まるのは当然。
芯は心なのだ。
まずはまっすぐ立たなければならない。
動くのはそれからだ。
動く時には、骨が要る。
骨と肉の連動で衝撃を吸収するのだ。
だが。
まっすぐ立てない。
重心が定まらない。
揺れて揺れて揺れる。
ぶれる。
肉が働かない。
あまりに力が利かないために、身が無くなってしまったような心地すらする。
骨だけになってしまったような感覚。
身動きも表情も無い骸骨。
窪んだ眼窩の奥に暗闇を見るような――。