くらがり/nightly
おそらく新月に近い。
暗い。
雨が続いていたし、久しく月を見ていない。
淋しい。
夜は苦手だ。暗闇に狩る者たちが目を光らせているような気がする。
私は、襲撃を想像し、それに抵抗する。
無意味だ。
襲う者が幻ならば、襲われる者も幻。
そこには何もない。
私は虚しい。
夜だ。
体が闇に溶け出してしまいそう。
日の光に暴れて消え去ってしまいそう。
光の中に影は射す。光が強いほど濃い影が射す。
だから私は薄暮へと逃げる。
薄灰の、彩度の低い世界。色が失われる際。色は即ち空しけれど、さりとて色無き世界に彩りなし。
つらい。
けど、このつらさは僕自身が作り出したものだ。
しかし、自分の手に負えないものを作り出してしまうのも、また、人。
あるいは、人は人自身の手に余る。
コントロールされない野獣ばかり。
恐ろしい野獣と優しい野獣。どちらも本能の所産。