花を持たせたと言えば聞こえはいいが…/Hawks

プロ野球 セ・パ交流戦 福岡Shホークス対横浜ベイスターズ

横浜先発・寺原、ホークス先発・和田の両軍予想通りの先発で始まったこの試合、家族で観戦に行きました。(僕は少し遅れたんですけど)

試合展開は、初回いきなり和田が2失点。僕は見ていなかったのですが、弟曰く「直球は切れてるけど変化球は全然ダメ!」

僕は1回裏に席に到着。寺原の初回のピッチングは好調大村にヒットを打たれるも次の打者本多を併殺に斬り、続くトレード相手の多村を邪飛に打ち取る立ち上がり。う~ん、寺原いいなあ。

この初回と2回を見て僕は、「大矢監督が交替機を誤らなければこの寺原からは大量失点は望めない。完璧とは言わないが低めのピッチングができているから、取れるとしても小刻みに1点ずつだろう。対する和田は悪いといっても直球はキている。山崎が序盤を直球で組み立て、中盤までに和田が変化球を修正してくれればまだ目はある。理想的には7回前後、両先発共に2失点で降板し中継ぎ勝負でホークスに軍配―ってのが、ホークスファンとしてのシナリオだな…」

…とかなんとか考えておりました。(以下、長いので「続きを読む」へ)

和田は毎回のようにピンチになっていましたが、4回からは変化球(確かスライダー)が入りだして随分楽になり、これで4,5,6回はしのげる目処が立つ。

その裏、先頭の森本の打球を何故か横浜二遊間がお見合い気味に見逃してセンター前ヒット。仁志は取れるが投げられないので石井に任せようと思ったんだろうけど、石井琢郎が…とにかくラッキー。次打者山崎は当然バントの構え…と言いたい所だが、構えの右腕がまっすぐ伸びていてとても成功する構えに見えず。そして予想通りスリーバント失敗。基本の構え方がなってないよ。コーチなにやってんの!?しかし、大村、本多が連続ヒットで満塁とチャンスを拡げる。今のホークス打線で信頼できるのはこの二人だけだな。……そう、この二人だけ。この満塁機に三番多村はあえなく三振。打てる球は初球の甘いカーブだけだったな。四番松中に対しては力のある球を投げ込む寺原。しかし、この場面では逆にこの力みによって寺原が高めの球を制球しそこなって、失点。松中はこの後きっちり討ち取られる。打てる気配が無いというか、傍から見ていて狙い球が何なのかさっぱり見えなかった。その後の打席もそうだが、松中は三冠王としてどっしり狙い球を絞って打席に立って欲しい。そして、狙い球が来なかったら「狙い球を投げなかった投手が悪い」と言わんばかりに打席を去る。それが“四番の風格”だと思います。

4回は建て直した和田がこの日初の三者凡退。寺原は2アウト後ブキャナンに2ベースを打たれるも、次打者森本を順当に斬って取る。

5回、和田はノーアウトのランナーを送られ、さらにヒットで一死一、三塁のピンチも、併殺で切り抜ける。その裏のホークスはピンチの後はチャンスありで、2死から大村、本多の連続2塁打で同点に追いつく!ここまでは思惑通り。

和田は6回も三者凡退に切り、流れを作りかける。打線はその裏、2死から森本が今日2安打目のヒット。ここで打者田上は、ヒットを打ったら最高、たとえ討ち取られても7回裏は大村からの好打順で乗っていけるという場面。寺原は意識してしまってカウントはボール先行の1-3…しかしここで、森本がエンドラン気味にスタートし、田上はスイングすることも無く見逃し、ランナーは楽々刺されて結果的に三者凡退に…。

僕はここがこの日の勝負のヤマだったと思います。これで和田が作ったわずかな流れは横浜へ行ってしまいました。

何故田上は振らなかったのか?それ以上に、あの終盤であれだけのリスクを取る意味が果たしてあったのか?僕は疑問に思います。エンドランは当てるのがプロの仕事とはいえ、それができなかった場合=「単独スチールとなって七回打者田上から」という場合を考えるとリスクは取るべきではなかったと思います。

あの場面は、田上に自由に打たせて、七回大村の打順からに期待すべきではなかったでしょうか?

そして逃した流れの中で7回表に小久保の痛恨のタイムリーエラーで勝ち越しを許す。ここで勝負ありでした。

小久保エラーの瞬間に漂った敗北の空気は痛かったです。今のホークスには終盤の1失点をあれだけ重く感じてしまう、そういう自信喪失状態にあると、そう痛感させられました。ホークスの戦力は7回表の1点ぐらいであんなに落ち込む必要は無いだけの戦力がありますよ。川崎抜きでも、十分に。しかし、それでもあの「ああ、この1点でご臨終」みたいな雰囲気になっているのは、自軍の過小評価以外の何者でもないと思います。

七回裏、寺原は田上をきっちり一ゴロに討ち取ってお役御免。スタンドからは拍手が。ってか、僕も拍手したよ。成長を見せてくれたのは純粋にうれしかった。で、その後は大村、本多が替わった左腕・那須野に凡退。結局、三者凡退で終了。

意外だったのは8回表、和田がマウンドに上がったこと。7回までで既にあっぷあっぷだったし、エラーで失点した経緯もあるのだから「今日はツキが無かったが、悪いなりに良く投げた。次回はもっといいピッチングを頼むぞ」って感じで、7回で下げるべきだったと思います。そして、案の定へろへろの和田が打たれてこの回2失点。観客から見ると見せしめの様にすら映りました。あの8回は和田のためになるイニングだったでしょうか?絶対にNOです。

これがトドメで試合終了。

さて、王監督の試合後のコメントを日刊スポーツ九州の王語録から拾ってみましょうか?

 王監督 いやぁ~、勝てる要素の全然ない試合だったな。先発投手は立ち上がりから悪い。7回は四球が決勝点になったし。打線は10安打かな。ランナーを迎え入れるヒットは1本だけだもんな。タイムリーエラーも出たし。

本当ですか?要素が無かったですか?

先発は立ち上がりは悪かったですが、それなりに持ち直して7回までなら3失点・自責点2でした。そして、立ち上がりが悪かったし、7回に四球が勝ち越し点に繋がったからこそ、8回は交替を考えるべきだったのでは?最近、特に新垣や和田に関して、引っ張りすぎて傷を広げるケースが多いです。逆に、水田や田之上の場合は早すぎる交代が目立ちます。投手の信頼度ではなく、その日の内容に応じて交替機を図るべきです。それができていません。だから、中継ぎも予想しないタイミングで試合に入ることになり、心の準備が無くて失点している…そういう風に見えます。

打線に関して。

松中の不振に関しては上述の通り。更に言うなら、「打ちたい球があるなら、それを投げさせる方法がある」ということを知るべき。打席の中で待ち球を変えているとそれは実行できません。

それ以外については、作戦的な問題です。観戦経験から言って、「1点を取りに行く」を全イニングでやってもせいぜい1試合トータルで3点しか取れません。「大量点を取りにいく」を実行していると、大体「5点以上or0点」となることが多い。だから、これらを組み合わせて、「序盤は大量点を狙いにいき、終盤は試合展開に合わせてやり方を変える」これが一番解りやすい形のはず。その視点から言うと、初回バントというのは敗北主義に等しい。なので、止めて欲しいです。エンドランなら解りますけどね。

左対左、右対右が不利とは言っても、プロのレベルであればそれはたかだか4分に満たない差。それを気にしてバントなんて…弱気が根付いてしまいますよ!

それから、せっかく松田を上げたのだから松田を使うべき。確かに昇格初日は結果は出ませんでしたが、どうせブキャナンも不調なのだし続けてスタメンDHでもいいはず。

とにかく、昔のような強気の采配を見せて欲しいです、王監督