サッカー日和/夢日記

■070120.sat■

「ゴォール!3-1!これで決まってしまったか~!」

遠い味方ゴールでDFがうなだれ、敵選手が両手を高々と空へ突き上げている。

遠い。

後半開始早々の痛すぎる失点。

嘘みたいな点差。

でも、まだ負けてはいない。

センターライン付近でボールを受ける。前を向く。

少しドリブルをすると、右前から相手選手がチェックに来るのが見えた。

近付く相手選手の背中側へボールを小さく出し、自ら走りこむ。

裏をかかれて慌てて立ち止まる相手選手の横をすり抜け、ボールを縦に送る。

FWの選手が裏に抜け出しGKと競り合い、もつれ合うのが見えた。

その交差点に複数の選手が殺到して成り行きが見えない。

そのうち、ボールが高く舞い上がりゴールの後ろへと落ちた。

チャンスを逃した―そう思った瞬間、笛が鳴る。

インゴール。

どうなったのかは解らないが味方FWがゴールの後ろの海へと落ちたボールを拾いに行くのを見て小さくガッツポーズをし、そして自陣へと走る。ボールを抱えて海から上がったそいつも、喜びながらセンターサークルへと急ぐ。まだ3-2。同点ゴールを奪うための時間が惜しい。

そこへ、同じく走って戻っていたウィングの選手が近寄って教えてくれた。FWのヘッドをGKが掻き出したこぼれ球を大きくシュートミスした。しかし、最初のFWのヘッドがラインを越えていたらしい。

試合再開、相手ボールでのキックオフ。

早い味方のチェックでボールが敵陣中央にこぼれる。俺が近い。一瞬早くボールを拾って中を見る。左から来た相手がゴールマウスへの視界を塞ぐように前に立つ。二の轍は踏まないか。しかしお蔭で左サイドで味方の快速ウィングが縦に走るのが見えた。それを見た瞬間に右足を振り抜き、左サイドへ大きく振る。敵の最終ラインはやや深めだが中央に寄っている。一番近い選手が対応へと走るがウチのウィングの方が2、3歩は速い。エンドラインまで1mで余裕を持って追いつく。そこへ敵選手がクロスを上げさせまいと間合いを詰める。しかしクロスは上がらない。ウィングはスピードを落とさずに更にライン際へ、更に内側へ切り込んだ。敵選手を置き去りにし、ペナルティエリア内へと侵入する。そしてゴールエリア手前、ゴールライン際からマイナスのクロスが上がる。それを反対サイドのゴールエリア付近へ走りこんできたキャプテンがジャンピングヘッドでゴール右上隅に突き刺した。これで同点。

この試合、8度目のキックオフ。

こちらにボールを渡さないよう、敵チームの慎重なパス回しが続く。しかし、守りに入っているのではない。ボールを持たない選手の動きは激しく、ボールを扱う選手の目も一度は必ず前を見る。前進を、勝ち越し点を狙っている。

こちらの守りも油断無く、積極的に前へ出る。次が最後のワンプレー。個々が全力をそのプレーに篭める。センターライン付近で睨みあう状況が続く。

一瞬の隙が生じたのはこちら側だった。

右サイドでカットを焦った選手がドリブルで抜かれた。相手MFの縦のドリブルが続く。味方の右DHはマークしていたライン際の選手のケアに気を使いながら並走して退がる。抜かれた選手もその後ろを追う。俺はマークについて中央に入る。右SBとボールを持った相手MFとの距離が縮まる。相手攻撃陣はCBのラインに並んでいる。ライン際を走る選手もオフサイドラインに近付く。中か、外か。選択は―サイドへのパス。これをサイドバックが読んでいた!右足に当たったボールがふらふらと飛び、これが先程抜かれてピンチを招いた選手の目の前へと落ちる。

トラップしてそいつが振り返る。挟まれる前にパスが俺に出される。

フリーで受けた俺にマークが来る。左サイドから声が掛かる。一瞬そちらを見た。俺も、そのマークマンも。俺の選択はキックフェイントからの右方向へのドリブル。本来左サイドを主戦場とする俺(※現実の体育とかでもそう)の右サイドへのドリブルは相手を攪乱していく。

これが俺の最後のワンプレー。渇いた喉も、疲弊した体も気にしない。全力で走る。

センターサークルを越え、もう少しでペナルティエリアに右隅から侵入できる。そこへ背後から追い抜き、立ちはだかる者がいた。

全身黒タイツに蝶を模したマスクの怪人―パピヨンマスク!!!

「これ以上はさせないよ。優勝して蝶サイコーになるのはこの俺だ!」

俺は加速したドリブルから急停止する。

(な…FWのこいつがここまで戻っているなんて―っていうか、パピヨン!?いや、蝶人だろうが関係ない!どちらにしろ―)

「残念だが、最高になるのはお前でも俺でもない―」そう言いながら俺は振り上げた右足を下ろす。後方への、ヒールパス。

ボールはややマイナスのパスになりながら中央へと転がる。

そこへ走りこむキャプテンマーク。

思い切りのいいミドルシュート

右隅へ突き刺さり、笛が1回鳴らされる。

そして、9回目のキックオフの短い笛からほとんど間をおかずに鳴らされる3度の笛を聞いて、俺は両手を空へ突き上げた。

ガツッ

気が付くとそこはコタツの中。ここは友人の一人暮らしの部屋。

飲み会があった後泊めてもらったのである。

寝転がったまま両腕をバンザイしている自分に気付く。

友人は既に起きていた。

「起きたか。喉渇いてないか?ちょうどお茶を淹れてんだけど」

「ありがとう。貰う」

渡されたコップのお茶を飲み干す。夢の中でも喉が渇いていたことを思い出す。

「夢を見てただろ?」

友人に問われる。

「あ…寝言言ってたか。うるさかったか?」

両手を突き上げたのを思い出してしまったという思いが脳裡を駆け巡る。

俯くと、湯飲みの中に残った茶葉の滓が見えた。

□ □ □ 

…という所で目が覚めた。

コタツの上には湯飲みは無かったし、友人は起きていなかった。

つまり、ここまでが夢。

喉はカラカラのままだった。

ゴールの裏が海だったり、パピヨン(『武装錬金和月伸宏)が登場したりしなければ本気でサッカーやってます。

これくらいサッカーがうまけりゃ楽しかろうなぁ…

てか、楽しい夢だった…

こちらのシステムは4-3-3で、キャプテンがトップ下、僕は2ボランチの左。右ボランチはやや下がり目で、いわゆるアンカーかも。

キャプテンは大柄でいわゆる点が取れるタイプのトップ下っぽかった。

それから、多分向こうの3点は全てパピヨン

局面的には最後の方のピンチの場面は再度の敵選手はサイドバックの選手に任せて、前進してくるボールマンにはアンカーが当たるべきじゃないかなぁ、と自分の夢にダメ出ししてみる。