フェイタル鬼ごっこ/dailly
■061224.sun■
高架化された鉄道の駅に商業施設が併設された総合商業ビル。
(ここは、いつも大きな破壊ネタが起きる所だ)
何だかいろんな人が集められていて、これから主催者からこれらの人々が無理矢理集められた理由が語られるところだ。
「今日、皆さんにチャレンジしていただくのは~これです!」
ジャン!
鬼ごっこ
「そして、鬼は~」
ジャン!
「はいっ!スタートっ!」
パァン!
「さぁ、ゴジラさんは既にこちらに向かっていますよ~」
一斉に駆け出す“参加者”。100人くらいいるだろう。
俳優やら芸人やらマンガやアニメのキャラクタが混在している。
後方で高架橋が崩壊し、落下する大音響が聞こえる。
群衆の中で接触して転び、踏んだり蹴ったりの阿鼻叫喚も聞こえる。
「言い忘れていましたがッ!」
先程の主催者の声が館内放送で流れる。
「長手方向に全長3キロのこの商業施設から出たら失格ですので」
いや、そんなの関係無いだろ。
「ま、施設から出ても生き延びれるとは思いませんけどね。あはは」
あははじゃねーし。
さて、鬼ごっこはどんどん脱落者が出ている。
というか、死者が出ている。転んだら踏まれて起き上がれずにガレキの山に潰される。
商業ビルの終端は近い。
外に出たら広い道路。ゴジラから丸見えだろう。それは危険すぎる。
通路を左に折れ、ゴジラが居るサイドとは反対側を目指す。とりあえず当面の危機をやり過ごすしかない。
ビルの反対側は割合静かだった。
立ち止まっても問題無い。
しばらく音だけを聴いていた。
一歩ごとに腹の底を揺さぶる足音、破壊音、悲鳴。
それは少しずつ遠ざかっていく…
そして本当に静かになった。
一体、どうなった?
「はーい、こちら主催者」
また脳天気な館内放送。
「ゴジラが通り過ぎて他の所を壊しに行っちゃったので、鬼を変更します」
コントロールできてないのか?
「新しい鬼は未知の生物です」
はあ?
「一応、人型ですが、光を通さない特殊な服を着ていて真っ黒に見えます。身長は2mちょっと。見たらすぐ解ると思います。というか、見たら逃げてください。好物は人間です」
それは“鬼”であって“鬼ごっこ”ではない。
とにかく逃げるしかない。
逃げる途中で普通に買い物してるおばさんがいたり、逃げ込んだ部屋がダンス教室の部屋だったり、いや、逃げろ!
□ □ □
“逃げ”の心理状況が……