Novelist in the hidden room/夢日記
■061215.fri■
刺激的な配色のゲームセンターの前を通り、車が激しく往来する国道を渡る。
繁華な街の陰にその古風な洋風建築は佇んでいた。
古風とはいえ記念館としての改修を最近行ったばかりで、壁の白やスレート葺きの屋根の黒は真新しい。しかし、その佇まいに年月が沁みたような存在感がある。
いや、それはこの館に記念されている作家の名が、その存在感に影響している面も否めない。
木目の良い黒い木製のドアを通って中に入る。
室内の家具は少なく、瀟洒な物ばかりだ。全体に落ち着いた雰囲気がある。
ぐるりと首を巡らしながら歩く。
建物の一番奥にトイレがある。
ここがこの建物で最も重要な場所だ。
若くして死んだその女性作家は、ある時、家を訪れた熱狂的なファンに斬りつけられて傷を負った。
以来、彼女はこの隠し部屋を作らせ、そこで生活をするようになった。
トイレに入ると、正面にドアがある。
こちらからドアを開けるには、トイレットペーパーホルダーの後ろに隠されたボタンを押す必要がある。
そしてドアが開いた。
広い。
天井は無く、25㎡はあるだろうフローリングの床に、家具は先程までの“表”の部屋に輪をかけて少ない。机とベッドとタンスが一つきり。それも、採光窓から日の光が注ぐ部屋の中央部にまとめて置かれていて、四面の壁で見えない箇所は無い。
机に歩み寄り、ディスプレイされた手書き原稿のコピーを手に取る。手元に採光窓からの光が注いで、温かみを感じた。
顔を上げて部屋を改めて見回した。この場所は部屋の中心に当たり、前述したように家具が一切無いので、何も目に付くものが無い。
こんな部屋で、あんな寂しい小説を書いていたのかと思うと涙が出そうになり、思わずベッドの上に突っ伏した。
□ □ □
何でトイレを経由するんだ…
それ以外はすごい雰囲気がある夢なのに…
本当に自由な空想である分、仕方の無いことか…
架空の女性小説家の記念館を訪れるという設定ですね。
寂しい小説というのは部屋の寂しさと隠れ住む事になった切っ掛けからの連想で一切の実態は無いです。