壊す政治/政治

長野県知事選で田中康夫氏が敗北しましたね。

当初から理想や見た目に拘った感じで、実績を上げ切れなかったのが敗因かと。

実績が無いのに既存権力とは喧嘩ばかりですから、長野県民も不安になったのでしょう。

喧嘩を見ていて気分がいいのは野次馬だけで、当事者にとっては死活問題。県政を我が身と直結して考えた場合に、円滑に事を進められない現状を県民が憂慮したとしてもそれは当然。

方向性は合っていても進む速度やルートが問題だったようです。

改革においては、相手を完膚なきまでに圧倒した後、ある程度敗者が擦り寄る余地を勝者は持っていないとダメです。

でなければ、圧倒した相手がそのまま潜在的な敵勢力となって残りますから。

一部はプロパガンダ用の敵として残したとして、残りは取り込んで敵勢力の分断を図らないと。

滋賀県知事も改革派が勝利して、三大公共事業の凍結を宣言しましたが、三つ全部の廃止を急ぐべきではなく、優先順位をつけて一つずつ潰していく事が大事です。三つ全部否定されると否定される側も必死になります。そこを少しずつ譲りながら相手を崩し、敵勢力内に綻びが生じたら一気に塗り替えてしまう感じで。

政治に限らず物理的な実体の無いモノは、壊してさら地に戻してから建て直すなんていう方法が通じません。時間が掛かっても、一部壊して建て直すリフォーム方式で無いと。

会社や役所は、壊してさら地になっている間、ホテルに移って仕事するってわけには行かないでしょう?常に機能する形である必要があるんです。急激にシステムを変えると、混乱が生じて能率が落ち、新方式が効率が悪いのだと錯覚されたりもするでしょう。形の無いモノの変化はある程度ゆるやかでなければならないのです。

全てのリフォーム後の姿を設計図に示す事が大事です。後継者に引き継がなければならない場合もあるでしょう。後継者が手直しする場合もあるでしょう。

必要なリフォームを、できるだけ少ない手入れで実現する。それが政治家の手腕だと思います。