夢日記060315

■Mar.15.Wed■

ありふれた会社の一室―だが、机の数に対して人が少ないし、どの机の上にもやたらと資料が散乱し、歩くのにも苦労するほど棚がおいてある。

窓際も蔭っていて。北側に位置している事が見て取れる。僕のイメージの中では、三流の雑誌社というのはこんな場所だ。

僕は今夜は観察者だ。古株の女性記者と若手の男性記者が話をしているのを見ている。

記事の内容は、妖怪の話だ。

「だけど、今回はこいつの記事で行きたいの」

そう言う女性記者は30代後半で、長い髪にはややウェーブがかかっており、唇は太め、眉も瞳もきりっと釣り上がり、一目に“アネゴ肌”という感じだ。

「大丈夫なんですか?まだ正体も分かってないのに…」

そう言って渋る男性記者は20代前半。明らかにぺーぺーと分かるようなそぶりと口調で、なんだか顔つきも頼り無げだ。

「何弱気になってんのよ。どんな現象が起きているのかを記事にすれば十分!むしろ読者にその正体を想像させるのが良いんじゃない!」

アネゴは一気にまくし立てた。その目には確信と熱意が宿っている。

「でも、せっかく掴まえたのを、戻して取材するなんて…」

こちらは明らかに不安な目をしている。慎重というよりは、本当に不安に思っているようだ。

「大丈夫よ。そんなに怖いヤツじゃないって」

そうやって軽く笑い飛ばし、女性記者は席を立った。そして促すように後輩を見下ろす。

男性記者は何も言わず、ただ、わずかに苦い顔をした。なんと切り返したらいいか分からないのだろう。

「よっし!それじゃ行きましょ」

その苦い顔を苦い同意と見なして、女性記者は歩き出した。背後で後輩が慌てる気配がする。

「ちょ…待って下さいよ!」

がたがたと音を立てて立ち上がる音。かさかさと紙を掻き集める音。ジッパーの音。がさがさ、とんとん、ガタン、荷支度の音が背後で続くが、アネゴは気にかける様子も無く打ち合せスペースから出た。いつもこんな調子なのだろう、本当に平然と置いてけぼりにしている。

そんないつもの音に、いつもと違う音が割り込んで来た。

「お~い、いるかぁ?あいつの正体分かったぞ」

女性記者の脳裡に彼女と同い年くらいの中年男性の顔が浮かぶのが見えた。一瞬感じられた彼にまつわる彼女の感情には、複雑なものが混じっていた。

「本当ですか!?」

若い記者が応対している。

「ああ。あいつは“葉破”という名の妖怪で…」

女性記者は右手に持った籠の中を見下ろした。羽を畳んだ緑色のその妖怪は静かにしている。

□□□

なんか、妖怪ものです。

う~ん、昨日の夢では自分なりの解釈をしようとか言っていましたが、わからんね。これは。

ステレオタイプな妖怪モノ漫画のプロットだもの。それ以上ではないと思われます。