Yahoo!文学賞レビュー5
■藤堂絆『アシタ』
さて、僕は5作品中のトップ評価とした作品です。
これは一番アラが少なかったです。雑誌に載ってても違和感無いかなぁ、ってこと。それと作者が若そうな感じなので。
アイディア:★★・
物語展開力:★★・
文章スキル:★★★
作品の空気:★★★
詳しい評価は続きに↓↓↓
プロットも淀みなく、文章もキレイに整理されている。
赤ペンは殆ど無かった・・・突込み所が少ないのです。
現代的な、冷めた女子中学生と、ませた小学生の男の子と、老婦人とが描かれていて、ちゃんとリアリティを持っている。
タカナオがませすぎな気もしますが・・・僕は田舎の古い人間なので、ちょっと自信ないですね。こんな小学生も今は居るのかも知れません。
アキ・シイナ・タカナオで「アシタ」とするのは、最初の数ページですぐに解ります。
だから“ア”“シ”“タ”は、全て名前を使って欲しかった。アキとタカナオが明らかに名前なのに、シイナが名字を書き込んだのはなんで?と思ってしまいます。
シイナが名字なのは、最初にシイナの男女の区別を曖昧にする事を狙っていたのかもしれませんね。それと、アキの嫁の名前にアサコをあてたのは“ア”の候補が二人という混乱を生んでいました。この種の混乱は、上手く活かせば善、下手にほっとくと悪となる類のものです。結果的にアサコの役割は非常に小さかったので、ちょっとまずかったと思います。
どちらもが“ア”であるという演出でしょうか。やや弱かったと思います。
あとは天災の扱いですね。
台風の日に地震も来たのみたいですが、どっちも物語にあまり大きな意味を成していないのならば、どっちか片方でよかったんじゃないでしょうか。
逆に言えば、両方を上手く物語りに絡める発想があるともっと高得点たりえたということでもあります。
ま、重箱の隅をつつくような突込みですね。
アラは少なかったので、見直しがしっかり出来ていたのでしょう。
あとはもっと伏線を張って読者を驚かすことが出来るようになって欲しいですね。
予想からあまり離れずに終わりを迎えたので、その点が物足りなかったかな、と思います。
その点、長編だといろいろ伏線張らないと緊張感を保てないので、今後の課題でしょうね。
頑張ってください。
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さて、以上で5作品のレビューを終えたわけですが、決定的な作品は無かったと思います。
アイディアが平均以上で、かつ世界観に合った文章が一番きっちり書き上げられていたという意味で、『アシタ』が一位となった感じですね。
まだまだ、評価は定まっていませんよ。
やはり長編2本、短編なら5本でその作家は評価できると思いますから。
ということで、5人の作者さん方、いえ、今回の文学賞に応募された方々、皆さん今後も頑張って下さい!
そんで僕ら読書人を酔わせてくれる一品を産み出して下さい!
良い試みだと思いますが、それにしてもテーマが「あした」というのは無茶な話。無い方が作品が多量に集まって大変でしょうが、本当の意味で文学賞をしたいのであればテーマの指定は無しとすべきでしょう。
それから、最終候補の作品群の選考は何を基準にしたのでしょうか?アイディア勝負なのか、文章勝負なのかはっきりしませんでした。
また、最後の五作品くらいは誤字脱字を直してアップして欲しいものです。あからさまなミスがかなり多いです。それも作家の実力の内かもしれませんが、それ位の手間は取れるでしょう?
そんなところです。
ではでは。