夢日記051204

体育館でバスケの試合を観戦している。観客には僕の知り合いが多い。僕はゴールの真裏に当たる位置で、ステージに寄りかかって試合を見ている。

試合は九州大学の対外試合なのだが、その内容はかなり不甲斐ない。

隣で見ている女性が僕に「あんたの方が巧いんじゃない?」と言った。

どうだろう?苦々しく思いながらステージの上へと登った。一段高いところから試合を見始めた。

アウトしたボールがステージ上へとバウンドしてきた。僕はそのボールを掴む。

苛立ちと名誉欲が綯い混ぜになって、僕はそのボールをゴール目掛けて投げた。

しかし、ボールは狙いを完全に外れてゴールを支えるポールに当たり、僕の後ろへと跳ね返って転がった。

僕はそれで恥をかいた。

>何もかも上手く行かないです。

>今日はあと二つ有ります。

深夜の街。街灯は少ない。

僕は父と弟と三人で歩いている。

父と弟の会話から旅行中であることが知れる。夢の中の記憶はいつも後付だ。

晩飯がまだ終わっていないらしい。三人は軽く済ませるためにファミレスかほか弁かを探してきょろきょろしながら歩く。

しかしこの通りは主要な道では無いのだろう。目当てのものが在れば目に付くはずの煌煌と照る電飾による光の塊が見当たらなかった。

そんな中商店らしき建物を通り過ぎようとした時、店先の看板が目に入った。看板には「ほっかほか弁当」と示されている。

漸く見つけた、と少し心が明るんだが、しかしすぐにその喜びは消沈した。看板は自光式であるようなのに光が入っていないし、なにより看板のぬしである店自体も明かりが消えかかっている。

そして、その店の屋号は「古書肆○×」とある。古書店なのではないか。ガラス戸を通して伺える店内も、本棚が人一人通るのでやっとな間隔で配置された古書店のものであって、弁当屋のそれではなかった。

望み薄だ。

弟は閉まっているんじゃないかと言った。僕もそれに同意した。

しかし父はとりあえず表が開いているし、奥には明かりも点いているから入ってみようと言う。

僕は反対しなかった。晩飯の件は望み薄でも古書店に入るのに反対はしない。

僕は今の所、稀覯本を漁る趣味は無い。だが、書棚の隙間に安息を見出す自分をしっかり意識していたし、夢の中ではその安息への欲求には抗えなかった。

僕は本屋に満ちた独特の空気を堪能しながら奥へと進む。ほんのりと青白い電灯が灯っているらしき所へ。

そこはカウンターだった。今にも崩れそうな茶色の分厚い古書が重宝そうに並べられたガラスケース、それをカウンターにしてその向こうの回転椅子にこの古書肆の主らしい。

場違いにも白衣を着た女性。年の頃は三十前後。胸にかかるほどに長い髪を、邪魔にならないよう右手でどけながら読書をしている。

細身の黒縁めがねの奥の目は、じっと左手に開かれた本へと注がれている。切れ長で、長い睫に縁取られていて、その瞳はその女性の冷たい知性を感じさせた。

本を読んでいなければ病院の診察室に居るべきだと僕は思った。診察室で診療をサボって読書している女医、ならば納得できる。こんな行く末不確かな古書肆の主をしているような女性にはとても見えなかった。

そんな事を考えながら立ちすくんでいると、白衣の女主はゆっくり僕の存在に気付いて顔を上げた。そして訊く。

「なにか御用?」

理知的な声で端的な質問。その余りにイメージ通りの対応に僕は却って恐縮して当惑した。

「ええと、弁当屋を探していてそれで・・・」

おたおたと説明を開始しようとする。どうにもこういう尋ね事は苦手だ。しかし、彼女は聡明にもその時点で用件を察して僕の不明瞭な話を遮った。

「ああ、弁当ね。何がいいの?」

事務的で手馴れた対応。どうやら本当に弁当屋をやっているらしい。カウンターの下の方に何かごそごそと探している。

>・・・ほか弁を副業でやっている古書店らしい。きっとその収支的には古書店が副業となっているだろうなぁ。

ラグビーをやっている。なんか見知った顔がプレイヤーに混じっている。

最初僕は見ているだけだったが、居ても立ってもいられなくなって乱入した。

ボールを拾い、パスを出す相手を探す。

手を上げる顔の殆どが懐かしい顔ぶれだ。

しかしそんな中、奇妙な生き物が混じっている。

それは人の胴体ほどもある巨大な顔に手足がはえた生き物。かなりグロテスク。

いや、損なのにパス出すはずも無いが、とにかく目立つ。すごくパスを呼んでいる。

>顔だけ人間はちょくちょく夢に出てきます。