寝袋殺人事件/夢日記
■夢日記
早朝のデパートだ。
部分改装を控えていて、作業員が様々な機材を運び込む横を歩いている。
俺は書店に、弟はアウトドアコーナー、妹はアパレル系へと散った。
惣菜コーナーの匂いが俺の胃袋を刺激する。
と、通り過ぎた方向から悲鳴が上がった。
慌てて走っていくと、アウトドアコーナーに人だかりができていた。
人山の中心には膨らんだ寝袋が横たえられている。背中側がこちらを向いていて中身が分からない。
「人なのか?」
「みたいなんですけどぉ、怖くて近づけなくてぇ」
悲鳴を上げたらしき女性店員が震えながらも答えてくれた。
弟の顔を見ると一歩下がりやがったので仕方なげに近寄る。
陰になっている顔を出す穴のあたりを見ると土気色をした人間の顔が見える。
「警察を」
俺は周囲に依頼した。
警察がまもなくやってきた。
「死体ですか?」
若い巡査が緊張した面持ちで身を屈める。
「・・・少々、奇妙な状態ですが」
俺はそう言って寝袋から出ている顔を引っ張った。
その“顔”はするりと取れて、新たに細い足があらわになった。
「これはマスクで、体は頭と脚がさかさまに詰め込まれています。被害者は――」
俺はジッパーを少しずつ下げていった。
そこには髪もひげもぼうぼうに生やした土気色の男の顔があった。
「この辺りをふらついていた浮浪者です」
「しかし、何故浮浪者がこんな形で――」
巡査は引きつった顔で疑問を口にする。
「暖を求めて迷い込んだ者がたまたま頓死したか、或いは――いえ、ここからはお任せします」
遺体から若い巡査へと顔を移した。巡査は視線に気がつき、ようやく自身の職務を再認識したらしい。慌てて威儀を取り繕おうとして立ち上がる。
「は、至急、署に連絡を!」
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姉さん、事件です(違