超弩級海戦/夢日記
■夢日記
艦が傾いていく。船倉から甲板へと浸水によって船員たちが追い出されてきた。
だが、外にも安全な場所は無い。周囲の駆逐艦からの銃撃と砲撃で船員たちは次々と命を散らせて行く。
更に、波間から敵潜水艦が浮上し、周囲の駆逐艦からも海兵が切り込んできた。
傍らの副官・志遠が言う。
「艦長、退艦を!」
しかし俺は続く言葉をさえぎった。
「艦隊を失って尻尾を巻いて逃げた将に再起などあるものか!このまま斬り込み兵と共に散る!」
愛刀を手に取り艦橋から飛び出した。
副官は杖を手に従う。
魔術を含むそれを白兵戦と呼ぶのかは定かでない。兵や将が単体で発揮する火力が火砲に近付く世界において、艦対艦の戦いは敵艦を斬り込みによって完全沈黙させる必要があった。
先駆けの敵兵との距離がどんどん詰まって行く、魂の篭らぬ銃撃ではこちらの守りを貫くには至らない。あと七歩でこちらの間合い・・・。
というところで、突然の轟音と共に甲板が劫火に包まれた。傾いた甲板を掛け上がってきていた敵兵がもんどりうって元来た徐を転がり落ちていく。呆気に取られた我々が次の瞬間に見た物は敵兵が集まった中心と、斬り込みに使われた潜水艦やボートに次々と命中する大型の砲弾だった。
人と潜水艦が火の球となって崩れ落ちる。
これほどの大火力の砲撃を備える艦は世界にいくつもない。
見上げるとドレッドノート級だった我が艦を見下ろす超々弩級艦が山のように聳え立っていた。
超々弩級艦は数少ない生存者と我々を収容して海域を去った。
白い軍服に日本刀を背負った女性将校は報告を行った我々を言葉少なに労った。
言葉とは裏腹に眼帯をしていない右目は楽しそうに笑っていたのだが。
察するに囮戦術を逆手に取られての大敗らしい。
「とりあえず命があっただけでも儲けものと考ろ。捲土重来の機は必ず来る」
副官はそうなだめるが、重油を浴びた服に包まれている以上に心が重かった。
あの魔女に救われたという事実が一番気に食わなかったのだ。
「身支度をしたらすぐに前線に加わる」
「海兵に加わる気か!?」
「余剰戦力を抱える余裕がある戦況ではない」
周囲の海兵はシャワー室への案内を頼めそうにないほど、脇目も振らず艦内を走り回っている。
「それにあいつの下でただ飯ぐらいなどしたらどんな嫌味を言われるか分からん」
そんな軽口を叩きつつ脚に任せて歩いているうちにシャワー室を発見した。
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あー、解説めんどいのでノーコメントで。