恩田陸『夜のピクニック』/

かわいい青春小説でした。

リリカル!リリカルっす!(≧▽≦)o

作中の夜行祭は多分戦中の行軍を模した催事に起源があり、あちこちの高校に残っているのかも知れない。僕の母校では夜間歩行は早々に取り止められ、十時間ほどで十里の田舎道を踏破する十里踏破遠足に衣替えしていました。

そういうわけで、ある程度自分の学生時代を連想しながら読んだのですが…

甘酸っぱいねー!

青春だねー!

懐かしいなぁ。

「もっと青春しとけば良かった」

とか

「もっと恋愛したかった」

とか、言うこと自体が青春。

いいね!若さって!

推奨年齢は女性11~、男性14~…ですかね。若いうちに読んで欲しい作品です。

小中学校では高校生活に夢を馳せ、高校生はお手本にするといいでしょう。

大人は懐かしみながら読み、今の自分と引き合わせてみるといい。

心の変化とともに読み味が変わりそうな本です。

(以下余談)

読みながら頭の中でカレカノが思い浮かんでた。

女性ってこんなふうに高校生活を見ているんだなぁ、と思いますね。

男はこんな見え方していない。高校3年になってようやくこれに近い見方ができるかな?というくらいですね。

つうか、高校生では“女性”と呼べる人は多いけど“男性”ってのは少ないような気がする。

そういう観点の違いも感じました。

僕は高校時代に恋はしなかったし、恋に恋もしなくて、恋に憧れて・諦めててという状態だったけど、今はそれも青春の一つだなぁと思える。

理想の青春をほとんどの人が経験できないからこそ、後から振りかえるとその出来損なっている部分がその人だけの青春になる。

異母きょうだいの同級生の確執と和解というのは、とても可愛い発想だけどすごく巧かった。テーマは序盤で簡明に示されていてゴールも見えているのに、最後まで中だるみはなく飽きさせないエピソードの配置は素直に巧いと思いました。流石。

ちょっと気になったのは異母きょうだいであることを高校生活三年間隠し通したということがちょっと奇跡的過ぎるかなぁ、と思います。堕胎騒動の噂があれだけ広まったようにそういう話は広まりやすいですから、出身中学が同じ人間から洩れたりしそうなものです。もちろん彼らの中学時代にも噂は広まってそうです。

それから、家に行くってのはちょっとらしくなくないかなぁ?……これ以上はネタバレになるので書けませんが。あれは違和感。

ま、難癖です。

シンプルに面白かったと言える作品でした。