眠る前も、眠った後も/daily

布団に入ってから寝入るまでが長い。

寝てから眠るまでの時間に色々なことを考える。

孤独で、静かで、真っ暗で、一日の終わりの最後の最後の空っぽの瞬間。

ふと、そんな時によい着想が浮かんだりする。

そうなるとその着想がある程度形になるまで眠ることは出来ない。

夢物語が育つ時間。

そしてその着想から生まれた物語に目鼻が付いた頃、少し気が抜けて僕は眠りに付く。

何かを育ててゆく間はとても胸踊るものだ。

そして、夢の中でも物語は綴られる。

こちらはもっと気紛れな、連想に任せて記憶の底泥を浚い、泥煙を巻き起こす猥雑で乱暴な妄想の渦。

そんな中に時折、きらりと光るものが混じることがある。

それを掬い上げて、拾い集めて、そして想いを膨らます。

するとそこにも物語の種が育ち始める。

そして目が覚めた時、まだその種を手放さずに居られたら、僕はその物語の種を頭の片隅に置いておき、発芽する時を待つのだ。

それは、今書いたように眠る前かもしれない。

はたまた、道を歩いているときかもしれない。

講釈を受けている合間か、食券の行列を待つ時か。

いつかは分からない。

埃を被って、次第に埋もれていくかもしれない。

でも、その種は確かにこの頭の片隅に眠っていて、いつか芽吹く日を夢見ている。

いつも、夢見ている。