黒服/夢日記

■070824.fri■

女友達が夜の街に去っていく。

白、赤、黄色、青、ネオンのカラーがやたら目に付くのに、空気が澱んでいるせいか薄暗く感じてしまう。

粘りつくような夜気の中を漂うように彼女は去っていく。

諦めが良すぎる。

どうしてあんなろくでもないやつらの言うことを聞かねばならない?

俺の右隣で黒服がにやける。

こいつはどうしたって喋りにはドスを効かせるくせして笑い声は甲高いのだろう?どこかに引っ掛かりがあるに違いない。

僕は左袖にすがる者を感じた。

もう一人の女性。

その顔は完全におびえきっている。

あの去った彼女とはまったく逆の、でも、人間らしい表情。

あきらめてしまった顔と言うのは、どうしても冷えて固まってしまうから。

僕はこの女性は守ろうと思った。

ボーイの服の下に戦意を固める。

この人の安全を確保して、彼女を助けに行かなくては。

そう思っていた。

だから、右足を振り上げて横に踏み込み、上体を沈めながら双掌を突き出した。

双撞掌である。

不意を突かれた男がよろける。それを見てそいつの舎弟があわてて拳を振り上げた。

僕はこれには取り合わない。彼女の手を取って逃げだす。

走って、走って、交差点を渡る。

後ろで声がする。

「あの女がどうなるか解っているのか?」

それは容易に想像が付く。

だから、決着は今夜中につけてやる。

□ □ □ 

でも、もう朝だった。