ある問答2「ご趣味は?」/myself

特に意味は無い。

ただ、こう想像しただけ。

「趣味は…『よむこと、かくこと、うたうこと』…どんな本をお読みで?」

「ミステリから児童文学、歴史小説に教養書…何でも読みます」

「最近読んで面白かった本は何です?」

「ミステリでは島田荘司の『占星術殺人事件』です」

「どんな所が?」

占星術に関する深い知識に根差した良い意味でのハッタリが利いていて読者を作品世界に引き込んでいます。そして奇想天外で真似しようが無いトリックが素晴らしい。新本格の夜明けを告げるに相応しい作品だと感心しました」

「…書くことというのは?」

「小説や絵を書くことを趣味としています、という意味です」

「どんな内容ですか?」

「小説は文芸作品、中でもSFやミステリです。絵は時々ですね。色を着けずに鉛筆画を。ちなみに、『よむこと』というのは句を詠むことも含んでます」

「ふぅん。小説家になろうとか、編集者になろうとは考えなかったの?先ほどの本の感想もそうだったけれど、そういう方向に興味あるんじゃないの?」

「あります。ですがそれは夢です。夢で飯が食えるのは獏くらいのものです。それでは周りが納得しません。ですから、僕はここに居ます」

「じゃあ、自分では納得していないということ?」

「…それは…、その、納得していないというよりは、当面の生きる糧を得る為の選択です」

「では、もし書いた作品が何かの賞を受けたとしたら、会社を辞めますか?」

「…~!辞めます!」

「…そうですか。何か、質問は?」

「…えっと、残業は多いですか?」

「小説を書くから?」

「~!いえ、参考までに」

「多いよ。私自身、趣味のテニスをする暇も無いくらいね。他には?」

「…ありません」

…あるある。

無いですか?