眠り/凹
二の轍を踏みました。
月曜日から、かたーんと活力が落ちていたところの今日。
「不調→ゼミ準備が不足→最終手段徹夜→徹夜失敗→寝坊→打ち合わせすっぽかし」の暗黒パターンです。
11月末にもこれをやらかしたのですから、成長していませんね僕は。
まだまだ不調期の再調整の方法が確立していません。
結局良く眠るというのが一番効果的なのですが、日中集中できていないのに睡眠時間を増やすというのも心理的に難しくて。
と言った所で他に手立てがあるでもなく、取り敢えず調子悪いときはまず寝ることに決定デス。
しかしまさかこんなにあっさり不調に陥るとは…率直に言って不可解。
まだまだ弱い、か。
実験、仮説、実践、理論。まだまだ仮説の段階か。
…はぁ…
眼を瞑って視覚を遮断する。
嗅覚、味覚はもとより感知すべき物無く、停止している。
次いで聴覚を意識の外に置く。
残された皮膚感覚で身の内の震えを感じる。
どこかすっきりしない不快感。
両の手指、肘、肩、爪先、膝、腿、両腹、鳩尾、尺骨、頬、眼窩、蟀谷…ありとあらゆる皮膚に満ちるその不明瞭な感覚。とてつもなく静かで冷たい。
全ての熱を忌避する静謐な液体が、脳味噌より他の筋肉や内臓とそっくり入れ替わって皮膚の下に満ちているようなイメージ。
冷え切っているのに、それでいて柔らかく感じる。それはきっと躯の深奥までその水と同じ温度でになっているからだ。その冷気が、躯の隅々に充ちている。
今皮膚を裂けばその傷口からはその浄水が流れ出るだろうか?
力が湧かず、知恵は働かず、ただその脳髄の下の水面に新たな一滴が落ち、清冽な高音と共に水面に波紋が拡散するのを、全身の皮膚で感じ続ける。
まるで、私自身が水底に沈んでいるかのように。
そう、私は沈んでゆく。深い水に満たされた身の内を、心奥へと。
そこは永く秘された洞窟の奥深く、紺瑠璃の地底湖。
沈む。沈み行く。深みへと、深みへと。
光は無く、音も無く、匂いも無く、味も無い。
ただ皮膚を包む水から、触覚と温覚と痛覚とを感知する。皮膚感覚のみによって、自らの容を確認する。それ以外の私は、皮膚感覚以外の機能は、停止している。静かに止まっている。私は動いていない。
だからそこには、静寂と沈黙だけがあって、私は眠っている。
それで良い。水底で眠ろう。冷たく、静かに、それが心地よいから。
ああ。
でも、あと一度だけ呼吸を。
こぷん。
最後の息を、吐き出した。
あぶくが、水面へと駆け上がる―。
私は眼を開いた。
中指と親指で指を鳴らす。
重苦しい冒険からの目覚めの合図。
合図と共に蓋をする。
その暗く口を開いた洞窟に、屈強で分厚く重い扉で、しっかりと。
…散文で心理を描写すると幾分気が楽になったかも。
もしかしたらへっこんでる時は、それを文章にして表出してしまうのが一番なのかもしれない。卒論の時も落ち込んだ時は無意識にそうしていたし。
新たな仮説が誕生しました。