夢日記051216

■Dec.16/Fri/1

新しい空港の工事責任者らしい。この俺が。

どうにもしっくり来ない。現場で指示している自分なんか想像できない。

今は早朝で、これから現場に行くのだと後輩が言う。

俺はゴネた。行かないと言った。

しかし、結局はその後輩に襟首掴まえられて引きずられていった。漫画みたいに。

現場の空港は、既に供用されている。

総ガラス張りの天井は高く、その向こうに人々は青空を遥か見通す。

待ち受けロビーは広大だ。

多くの人々が思い思いの速度で思い思いの方向へと歩いている。

肌の色も、髪の色も、全く様々。

旅行鞄を引き連れ、お土産を手に提げた人々が見える。

そんな浮かれた人々の中を場違いな作業着の二人が進んでいく。

俺は自分の全身と周りの人々とを交互に見ながら歩いているのでどうしても後輩に遅れがちになる。

何か、屈辱。

後輩の話に拠れば完成していないのは地下空間の設備だけらしい。

広いロビーの片隅にお定まりの黄色と黒のシマシマが見えてきた。

あの固定観念の塊が更に俺をうんざりさせる。

ふう、と一息ついた。

目をつぶって首を左右に動かす。気休め程度の準備運動。

目を開けて走り出した。

逃げる。逃げてる。

後輩は大声を上げて追いかけてくる。

方々に歩いていた人が騒ぎの先へと目を向ける。

いいぞ。愉快じゃないか。

俺は人と人の隙間を擦り抜けて駆け抜ける。

軽快に日常を抜け出していく。

不良社員ですね。日常にご不満な様子。

今日は3本憶えている事が出来ました。残りは長いので「続きを読む」に。

■Dec.16/Fri/2

寂れた漁村にバスから降り立った。

50m先に薄汚れたコンクリート造りの建物が見える。

二階建てのその粗末な建物には余計な装飾は一切無く、塗装すらされていないコンクリート独特の薄灰色一色だった。更にはその建物が何の建物なのか示す看板すらない。

その位置と階高は説明された通りで、それ以外に二階建ての建物は皆無なのだから、目指す建物は今見えている廃墟寸前のそれに違いなかった。しかしこれでは思いっきり不安に感じざるを得ない。

暫く、う~ん、と小さく唸りながら立ちすくんでいた。

辺りを見回した。しかし質問しようにも、話しかけるべき人影は一つも見えない。

海風に飛ぶかもめが鳴き、道路を黒猫がてくてく渡っていく。

静かだ。ここにじっと立ち尽くしていたところでしょうが無いと思い知った。

建物に向かって歩き、玄関へと辿り着く。

玄関は大きな両開きのガラス戸だった。そしてそこから見える風景がまた廃墟としか言いようが無かった。

中には何も無い。いや、語弊があるか。玄関からは、据え付けの長方形テーブル以外の端っこ以外に何も見えない。棚も無い。掲示板も無い(ネジの跡はある)。椅子も無い。

しかし、何も無いなら何も無いで入るのは気安かったりする。僕はガラス戸を押してそっと中に入った。そして驚いた。

ドア越しには見えなかった場所、そこではテーブルの上でおばさんたちがふた抱えはあろうかという巨大な鍋で料理を作っていたのだ。いそいそと立ち働く割烹着姿のおばさんたち、鍋から立ち昇る湯気。

これは一体?

僕は学生に対するアンケート調査の補助でここに来た筈だ。それなのになんでここではおばさんたちが料理を作っているのだ?

ぽかんとしているとおばさんたちのほうも僕を見つけた。そしてにこにこと笑って僕を迎える言葉を放つ。

「あら、あなたね?もう一人のアンケートの学生さんは」

そう言ってメガネのおばさんは鍋にボウルから材料を投入した。僕が何も言わずに立ったままなのを見て、そのセリフの続きを別のおばさんが引き取った。

「アンケートなら上でとってるわよ」

そこまで聴いて僕はようやく「どうも」とだけ言った。

事情はよくわからないが、とにかく上の階に行けばいいようだ。

階段を上る。そこには教室があって、教室の外にHさんが立っていた。

「どうしました?」苦い顔をしているので訊いてみる。

「中に入れないんだ」Hさんはそう言った。

しかしどう見たってドアは開きっぱなしだ。

不思議に思いつつも僕はドアから中に足を踏み入れた。

一歩、二歩、三歩・・・何も異常は無い。

教室の中では学生が気だるげにアンケートに向かっている。その様子を横目に見ながら机の間を歩いて黒板の前に到達した。異常はやはり無い。

ふと窓の方を見ると腰ほどの高さの棚の上に冷蔵庫が置いてある。

不思議に思った。

その冷蔵庫の近く、最前列の男子生徒に尋ねてみた。

「この冷蔵庫、何?」

すると学生はにこっと笑って、

「クッキーです」

と言って冷蔵庫を開けた。

僕は中を覗き込む。

そこには、宇宙が広がっていた。

星雲が見える・・・と思った瞬間に、激しい風と共に僕は冷蔵庫に飲み込まれていった。

>恐るべし、冷蔵庫の中の宇宙。

>これを忘れないように寝惚けまなこで携帯に残したメモが「漁村、宇宙クッキー」となっていた。よくこんなメモで全部思い出せたなぁ、俺(笑)

■Dec.16/Fri/3

思い出すのは二日前。

助手の先生から出張を言い渡された。「出張に行ってきてくれ。」

僕は答える。「行ってきます。」

更に助手さんは渋い顔しながら言う。「でも、研究室にお金が無いんだ。」

僕は明るく答えた。「大丈夫っすよ!なんとかなるっす!」

そして今、駅で毛布に包まって寝転がる僕。

自分でも思った。

(流石に野宿はやりすぎだろ。金おろそうぜ。)

>ああ、何にも考えて無いですね。

むちゃくちゃ極端な展開です。