話し相手/夢日記

夢日記*081130.sun

(今日はどんな本を読もうか……)

俺は構内の書店を2階へと上がっていく。

「あら、今日は珍しい本が入ってますよ」

店員さんが声を掛けてくれる。

「え、どんな本ですか?」

「『太陽を見続けた男―×××伝』。熱核理論の研究者の評伝」

「へえー……あ、でも、ちょっと別の本も見ていいですか?」

「いいわよ。検討しといて」

「はい」

俺は奥へと歩く。

生物学のコーナーで『生命科学の進歩』というハードカバーを手に取る。

以前から購入を検討していた一冊だ。

(どっちにしようか……)俺は悩んでカウンターに視線を泳がせた。

ちょうど新しい客が入ってきて、カウンターに置かれた新入荷の本を物色し、なにやらさっき見たような柄の表紙の本を手に取った。

(まさかそんなマニアックな本を買うつもりか?)

俺は喜んだ。あんな本を買うようなら他にも面白い本を持っているかもしれない。

ここはぜひとも友達になって、本の情報を交換したいものだ。

しかしそんなことを考えているうちにそいつはとっとと代金を払って階段を降りていく。

「ちょっ、あの、その本……!」

俺は声を掛けようとするのだが上手いこと気付いてもらえない。

そして後ろから店員さんが優しく声を掛けてくれる。

「大丈夫、欲しかったら1週間で入荷するから」

いや、そーではなくて。

なんか気が削がれた俺は生命工学の本を戻して書店を出た。

明治・大正時代の建築様式でつくられた荘重な図書館を見上げる。

かばんの中を探った。

中には、古びて「088」と印字されたラベルが剥げ掛かっている『図書館情報学』とそれほど古くは無いが新しくもない『経済学の論理』、それから電磁気学の教科書と応用力学の教科書、そしてノートが入っている。

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学生時代にもっと本を読んでおくべきだったよなー。

つーか、この夢の中の設定では俺は話し相手がいないらしい。

いや、学部時代はほんとにそうだったけど。

起きてから思い起こすと書店のちょっと年上の店員さんがけっこう可愛かったけど、見ている間は同世代の友人欲しい一心だった。20歳前後ってなかなか20代後半はストライクゾーンに入らないよね。

夢の中では完全に気持ちがその設定年齢に戻っているけど、起きたら20代後半の俺の価値観で解釈できる。そういう意味で女性の評価が変化している。あと、男の友情と女性への愛情は別ものだからねぇ。