白馬の王子様/myself

恋愛における自分の考え方は間違っている、と思う。

そう自覚している。

自分が、他人はいざ知らず自分については安定よりも波乱を好む性質なこともよく知っている。そのために、「ある程度、将来が決まってないと相手を不幸にしてしまう」と考えて、「成功してから迎えに行こう」みたいなことを考えているのだ。

それはまるで乙女が白馬の王子様を待っているのと、まるで逆で、カッコいいようで非現実的な幻想に過ぎないではないか。

自分でもそう思う。

解っている。

そんな幻想とは異なって、現実の恋愛とは欲望に駆られ、即物的に交わされるものが大半だと言うことも解っている。

鈍重な理性の鎧で固めるよりも、身軽な姿で本能のままに奪い取るほうが生き物として正しい姿であること。それが男性だけでなく、しばしば女性の側からも臨まれることがあること。

白馬の王子様が迎えたお姫様も、王子様が大航海に出た留守中には体を持て余すのが当たり前なのである。

そういうことは理解している。

多くの永遠の誓いが破られ、指輪が質に入れられる。

「初恋は実らない」どころか、経験が豊富なほうが珍重される。

「結婚を前提としたお付き合い」なんてものはもはやシーラカンスに比せられるべきだろう。

…だが、それが深海に確かに息づいていることを期待するのは、僕自身もネッシーのようなロマンスの塊、生きた化石だからなのかもしれない。

いずれにせよ時は刻一刻と過ぎ行き、僕も、年を取る。

焦りを感じているのだ。こう見えても。

まして、あの人は僕より年長なのだからなおさらだろう。

そういう思いをさせてしまっているのは僕の罪だろうか……などと思うのはやはり自意識過剰と非難されるだろうな。

そんなことを考えながら、なお、僕は怖がっている。

何かを告白することは、それを隠している衣を脱ぎ去り、裸になることだ。

それはとても傷つきやすい状況で、そして愛を告白し、それが退けられると言うことは、愛する人によって生身の心に最大の打撃を受けると言うことなのだ。

そしてその傷は深く二人の間に残ってしまうだろう。

僕はそれを恐れている。

臆病だ。

僕はこの恋に怯えている。

こうして陶酔的に記述される心情が僕の過剰な繊細さを表し、そして、決定的な局面に踏み込めない、傍から見ればじれったい現状をうまくなっとくできるものに見せてくれるのではないかと考えてしまう。

あああ、へっぴりごしだな。もう!

彼女の友人に助け舟でも出してもらおうか、などと考えて見て、

すぐにそれもまた恥ずかしいと感じて却下したり、

想うだけで気持ちが届いたらいいのに、とか電波な考えに囚われたり……

まったく、初心な自分が情けないのだがどうしようもないまま、行動しなければ答えなど出しようの無いこんな仕様の無い問答を頭の奥に引っ掛けて、執筆したりなんたりかんたり。

とかく、僕の心はめんどうくさい。

ちょっとうんざり。

ま、こんな人間だからいまだかつて告白されたことがないわけだ。

周りの女性がた、あなたがたの眼力は正しい。

僕は誠実に見せかけて気紛れだからねぇ。

3ヶ月前にもこんな悩みを抱えて悶々としたが、結局忙しさにかまけて先送り……というか、その頃には一旦諦めすらついていたりして、なんというか、恋愛感情が間欠泉みたいに湧いたり湧かなかったりしていてぜんぜん進展しない……。

愛の、才能、ないの。今も勉強中~でもないかも、はにー。