小川亮作 訳『ルバイヤート』岩波文庫/読書感想

この訳は流麗さに欠くが、解説にも見える訳者の誠意がよく反映された分かりやすい訳である。

忠実さを信ずるにオマルハイヤームは一見悲観的ながらも積極的に人生を楽しんで見せる良き学者であったと知れる。

科学者は自己の観測の限界を痛切に嘆じつつ、その観測しうる限りを肯定するがためにそれを楽しもうとする。虚しさが大局的視点に立つがゆえのものであり、自己を卑小化する酒や性を肯定することにためらいがない。

そういう達観は科学的公平さにつながりやすい。

優れた知者とはそういうものだろう。

しかし、詩とはそういう内奥を呑み込んで、直感的理解として浸透するものであり、それが愛される所以であろう。

というのは、置いといて、酒おいしいよね!