『レッドクリフ Part1』/映画感想
4/9にパート1を、4/29にパート2を観ました。
予想以上に面白かったです。
観賞前は「三国志の中でも赤壁の戦いは面白いんだけど、あの巨大なストーリーから赤壁だけを取り出してきちんと理解できるのか?」という疑念を抱いていたんだけど、それは間違った考え方だったな。
理解できるような形で造ることが大事。
ネタバレしつつ、だらだら書きます。
まずはパート1の感想から。
まずは曹操を分かりやすい悪役に定置する。
これは、三国志演義をそのまま、という感じ(と書くと知ったような感じですけど、正史と演義を比べたことは無いです。普通に。知識として知っているだけ)。
若い皇帝がいて、曹操が宮廷を牛耳っている、っていう描写でそれを示す……ん?若い皇帝!?……ま、いいか。まあ、そういう風に悪役を設定する、と。
その悪役が劉備と孫権という、宮廷に従わぬ者たちを征伐する軍を興すと。
次に、善玉・劉備が登場。
まあ、長坂坡で民と一緒に追い回されているわけです。歩みののろいおじいちゃんおばあちゃんを気遣ったりしてる描写ね。
そして、その配下武将が大活躍。趙雲、張飛、関羽、そして諸葛孔明。(なんで孔明だけ字なんだろう?あーでも、子竜、益徳、雲長、って呼びかけてるシーンはあったような気がする)
青銅の盾をバーンとひっくり返してよく磨いた面を出し、太陽を反射させて追撃の騎兵の馬を驚かす作戦は面白かった。あれが孔明の作戦だってことが分かる描写がもっとはっきりしたら、もっと良かったかも。そっからは三武将が大活躍。っつーか、なんで関羽がいるんだって野暮な突っ込みはなしだ。顔見せのタイミングは大事。
それにしても趙雲の単騎駆けはやっぱりどんな媒体でも見栄えがするよなあ。やっぱあのシーンはやりたいよなぁ。
んで、とりあえずの急場をしのいだ後、同じく曹操の南征の対象である孫権との同盟を孔明が進言する、と。
で、舌戦の場面はなし。まあ、憤死とか描かれても困るしな。降伏派の声が大きくて、重鎮の周瑜の同調を引き出しに行くことに。
調練中の周瑜を訪れた時に、布陣を時代遅れと孔明が評し、周瑜が地獄耳に聞き取るシーン。おろおろしている魯粛が笑えるんだけど、やっぱ魯粛はこの位置づけかw 史実では偉い人だし、孔明についてきていることからも分かるとおり、この人こう見えて主戦派だから!和みキャラじゃないから!
ところで、牛泥棒のエピソードは周瑜じゃなかったよな。戦国だっけ?あれは良いエピソードだよな。
小喬が馬の世話しててびっくりしたな。あれは現実味のあることなのかどうか……。孔明が牛の出産を手伝ったことがあるってのは、ありそうな話だが。そこから態度が軟化して、琴の競演のシーン。
いいね、原始的な調べ。スタッフロールに専門のスタッフがいたっぽいし、あれは良かった。分かりにくいかもしれないけど。
小喬は本当に美人さんだったけな。そういえば、曹操が幼少の小喬を知っていて、小喬を狙ってやってきたという後世の創作を入れたのは、まあ、物語としておいしいんだけどあの描き方では一人の女のために軍を興したみたいで感じ悪かったかも。曹操の人妻好きのエピソードは面白いんだけど、酒の席で部下からネタを振るみたいな感じだったらな。そしたらパート2で、ネタを振った部下が後悔する場面とかできたと思うし。
さて、孔明と意見が一致した周瑜が出てきて、孫権を焚きつける。
虎狩りのエピソードを挟んで決意を固めさせ、床机を斬るエピソード。
孫権のコンプレックスの話は、最初の降伏派と孔明が話をするシーンで武官が兄・孫策だったら云々、と比較しておいたらより明確になったか。つか、史実では抗戦派の魯粛が演義の性格になってるから、その役を担える人がいなかっただけのことだけど。
同盟成ってから、緒戦の陸戦の話は演義にはないよね…?でも、パート1の占めに戦闘シーン無いのも盛り上がりに欠けるし、当然の展開か。
軍議で「八卦陣が古い陣」という話が出るんだけど、陣立ての発展史としては、横列して右手に槍、左手に楯を持って突き合う形が殷周くらいで、そこから発展して孫子・呉子が考えて戦争するようになったのが春秋・戦国時代で八卦陣とかが考案されたとかだった気がする。そこからさらに「背水の陣」とか生まれた秦朝後の戦乱を経ての三国時代なので、古い陣という表現になる、はず。
あの描写は、曹操が船団の流下に騎馬隊を先行させる策を読みきって、有利な地形へと誘い込んだというところだろう。八卦陣は堅牢さによって少数で多数に当たれる陣形だが、布陣に時間がかかるために機動力のある騎馬隊には本来使いづらい、ということと思う。
それにしても盾の使い方が斬新だった。盾兵の存在はこだわってるなー、って思ったけどまさかあんな使い方をするとは。いやー、さすがにハリネズミ戦法はないでしょー。(あったりしたら俺は無知をさらしていることになるわけですけど)。あと、上を走るとは。そうでもしないとワイヤーアクションの出番が無いのは確かですけど、そんなにがんばって使われると却って笑ってしまいました。
武器といえば、戈が出てきてたのも良かった。確か、三国時代くらいで剣と鑓と弓と弩へと淘汰されてってしまったはず。
で、大船団が赤壁の呉軍陣地の対岸に現れて、俺たちの戦いは始まったばかりだ!でパート1終了。
全体的に考え込まれていて、面白かったです。
では、Part2の感想へ⇒『レッドクリフ Part2』/映画感想