漠然と、漫画/漫画の話

最近の漫画の話をしようか。

まずは『バクマン』に触れざるを得まい。

この作品は明らかに「ジャンプ漫画」そのものをテーマにしている。

ジャンプ特有のアンケートシステムや若手作家の抱え込みの話が取り上げられており、漫画を好んで読んでいるものが噂で聞いてきたことの実像が語られているように読める

その真実性を読者は確認し得ないのだが、それが真実であると錯覚させられ、そしてそれを知ることができて嬉しい楽しいという気分にさせてくれる漫画です。本当にガモ…大場つぐみは上手い。

振り返って見れば週刊少年ジャンプが最初の黄金期を迎えてからすでに20年の時が経過しており、かつて20年ほど前、少年少女向け漫画が商業的に確立して15~20年を経過してその文化が広く定着した頃に漫画創作そのものを描いた『まんが道』や『サルまん』が登場したように、「ジャンプ漫画」の創作を描くことを楽しむだけの確立した文化をジャンプが確立したとも取れるわけです。

ウェブの評論等でも同人創作の面などでのジャンプの特異な地位が見て取れます。

よく発行部数で比較して何年ごろが黄金期だったという批評がされますけど、それは漫画界全体を見渡して、最初のジャンプ黄金期からずっと今まで譲らずにジャンプの他紙への優位は続いているということに気がつくべきです。ジャンプの中だけで比べて優劣を云々するのは、世代間闘争に摩り替わりがちですしね。(思い出補正とか言われるとちょっと哀しくなります。)

さて、そんなジャンプですけど、週刊少年ジャンプは一人勝ちの裏側で月刊少年ジャンプは休刊してS.Q.へと転換しました。月刊ではアンケートシステムによる機敏な舵取りが難しかったからでしょうか?

S.Q.は月刊からの移籍組の『クレイモア』が面白く、『ロザバン』(←面白いの?)やラノベ原作の『紅』がアニメ、ネームバリューのある藤崎竜屍鬼』や和月伸宏エンバーミング』を抱えていて、健闘している……のか?

僕はエンバーミングクレイモアしか追っかけて無いのでよくわかりません。あと、『TISTA』がなかなか良さげです。この作者さんはデビューの読み切りが良かったのですけど、アンケートシステムでは厳しそうな世界観を特異としているのでS.Q.の方が水に合っているかもしれないです。

アンケートシステムってことで、話を週刊の方へと戻します。

週刊では、なんと2週連続でスポーツ漫画の新連載を持ってきました。

サッカーとバスケです。

『アイシールド21』が底堅い人気を確保しつつも物語としての終着点が見え初めてやや低調気味に推移しているところからして、そろそろ次の人気スポーツ漫画を確立して起きたいという狙いが見え見え。

しかし、スポーツ漫画とアンケートシステムの相性がすこぶる悪いですからね。

最初の数回で読者を獲得できなければ途中からの巻き返しが難しいアンケートシステム。

今回の2作をさらっとまとめると、

サッカー:主人公は身長の低いドリブルが得意な2年生ストライカー。また、選手の素質を見極めることに長け、主将を務めている。副主人公は長身の新入生。中学時代は長身を買われてFWだったがヘディングが下手でダメ選手扱いされていた。実はパスセンスに優れることを主人公に見出され、これから開花する?副主人公視点からの語りで構成する。

バスケ:主人公は、色素が薄い見た目が暗い新入生。黒子のように目立たず中継役を担うことでチームのボール回しを活性化するのが得意。副主人公はアメリカ帰りの長身の新入生。見た目が怖い。ゴール下での派手なプレイが期待出来そう。マネージャーがスカウターみたいに選手の能力を数値化して管理しているらしく、目立っている。

こんなところか。サッカーの方は監督が使えないことが明らかになっていて、バスケの方はまだ不明。

正直、どっちもやばそうな感じなのですが……。

サッカーは第2回でのドリブルシーンがちょっと……そういう見た目の動きの激しさに気を取られていては試合に入った時にどういう描写になるのか心配です。派手なのはいいけど……。

バスケは逆に地味すぎる。少年漫画のおもしろみが主人公の成長に読者が自身の成長を重ね合わせることにあると考えると、その成長の方向が肉体的不利の克服というのは面白みに欠けそうな気がする。あと、過去の例に習うなら、桜木と流川、翼と日向のような反発から和解の構図は王道だけに面白みがある。ちょっとその辺が、薄いかな、と。

テニスの王子様』みたいにトンデモ方向へとぶっとぶのもアリですけどね。あれはとてつもないセンスが要求されるので、あんまりおススメできないです。

今面白いスポーツ漫画といえば、週刊少年マガジンの『ダイヤのA』、『ベイビーステップ』、『スマッシュ』でしょうかね。あとは、モーニングの『GIANT KILLING』。全部講談社。『花形』も最近良い感じ(アレは日常パートがチープなのがなぁ……)。『エリアの騎士』もいきなりの心臓移植でちょっと引いたり、ネーミングセンスに引いたりしてるけど悪くはないと思う、多分。

あと、チャンピオンの『弱虫ペダル』も良い。あと、『ストライプブルー』も両投げ投手という奇抜な設定をストレートに描いていて面白い。地味だけど『ANGEL VOICE』も悪くなさそうな感じ。

こないだ本誌を打ち切られてWEBに移ることになったサンデーの『ゴールデンエイジ』は、中身はいいんだけど絵に迫力がないのが致命的。盛り上がりたいところで盛り上がりきれないからなぁ。一回絵を壊してみて、崩れた絵でも迫力があるほうが良いと思う。例えが悪いけど、『テニスの王子様』は一コマの迫力で6本指に気付かれなかったりするわけだから。『あおい坂』とゴルフは読んでない。

おお振り』は最近どうしてるんでしょうか?チェックする機会がないからわかんないけど、あれもいいクオリティ。

あんまり読んでないけど『ノノノノ』はスポーツ以外の部分に主体があるから除外。

こんな感じかな、他誌のスポーツは。

スポーツ漫画はどうしても群像劇の様相を呈するので、個性あるキャラクタを多数配置しないといけない。それって、若い人にはけっこう難しいことだと思うんです。

だから『P2!』を打ち切るのは早計だと言ったのに……。S.Q.あたりで延命という選択肢はなかったかなぁ……。『どですかでん』…いや、『どがしかでん』(?)も盛り上がりが遅かったけど、そんなにきっぱり打ち切らなくても……。

ていうか、『どかすかどん』で思い出したけど、タイトルを覚えにくい漫画は話題にしづらいからタイトルもっと練れ!

新連載は……サッカー漫画が『マイスター』でバスケ漫画が『黒子のバスケ』か。ググった。

前者はタイトルを印象付ける描写を第一回でしないと!後者は描写はあったけどそもそもが地味すぎる!

大丈夫なのかホント……。

他は……『ぬらりひょん』が最初心配されたけどバトル路線で安定してきてる。

『トリコ』が王道の少年漫画で良い感じ。

『サイレン』が際どいラインを走ってる。現代編の方が面白いけど、もうひとつ物足りないところがある気がする……。緊張感かな。

『ワンピース』は最近また面白くなった。というか、レッドラインからの残り半分は海軍ですら通行しかねている部分だから実質的に海軍が立ち塞がるのはここが最後のはずなんだよね。スモーカーとかは追っかけてくるんだろうけど。

『ブリーチ』作者のどSはよく分かってるから、とっとと話を進めてください。

NARUTO』そんなに何度も死んだっぽい描写をしてもカカシが死んでいるとは思えない車輪眼でよく訓練された読者である僕。

アスクレピオス』内水先生はS.Q.かあるいは他誌に移籍してゆっくりと思う存分描ける環境を確保すべき。10話とか20話とかでは質がわからん(ま、それだけ盛り上がりをつくりきれないってこともあるけど、ジャンプではその要求される沸点が高すぎる)

『アイシールド21』あれ?クリスマスボウル……(´・ω・`)?

『SKET DANCE』なんでもいいから打ち切られないでください。

銀魂』……実は、最近あんまり読んでない(´・ω・`)吉原編が……なんか……。

『ハンター』冨樫は本当に凄いよ。

『犬まるだしっ』あれ……なんか面白い気がする…?

『とらぶる』……もう、なんていうか、伝統的なエッチ系漫画ポジションをがっちりキープしている……。桂正和が尻に代表される肉体描写に優れるならば、こちらは現代的な「シチュエーション萌え」をひたすらに追求してるよね。長谷見先生は恐ろしすぎる……。『うる星やつら』リスペクトとも言う。

ネウロ』佳境が過酷でめっちゃ楽しい。裏切り者の末路の描写が完璧。

ジャンプはこんな感じ。

最近……サンデーをあまり見かけないんだ……。立ち読みできてないんだ……。

マガジンの方が面白いしな。『絶望先生』とか上に挙げたスポーツ漫画が。

チャンピオンは『バキ』と『イカ娘』と『冥王神話』と『弱虫ペダル』と『ストライプブルー』。特に『冥王神話』が素晴らしすぎる。

最近、立ち読みで漫画を語ることに限界を感じつつあるけど、部屋はすでに一杯いっぱいなんだよね。買うと言う選択肢はない。

つーか、自立しろオレ。