雨に蟹渡る道/daily

蟹が破片を味噌で溶いた薄焼きみたいに道路に潰れている。

雨に誘われて道を渡る蟹を見るにつけ哀れと思う。

あのぱしゃっと潰れる軽快な湿った音はなるべくなら聴きたくない。

あのくしゃりと卵を割る右手に感じるようなあの脆さとみずみずしさの感触を足裏に覚えたくない。

なのに死骸は次の雨に流されて、次の蟹が道を渡ろうとする。

横歩きしかできず、前に歩けない蟹から最近いやに目を離せないでいる。

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