支倉凍砂『狼と香辛料』電撃文庫/読書感想

ラノベですね。

弟が買ってきました。

中世―この時代の区切り方は僕は好きではないけど―、商人の暮らしをうまく描いているっぽい。

「ぽい」っていうのは、僕は専門家ではないから断言できないという意図。

でも、僕が持っている限りの知識との整合性はとれてるので、うまく描いていると判断出来そうな気がするだけです。

時代的には……シェイクスピアの『ヴェニスの商人』の元になるような話が成立したようなころだから、1600年から150は遡った方がいいだろうし、ヨーロッパでの為替の成立が1300年ごろだったと思うから1450~1550とか、そんなもんかな?大航海時代よりは前だと思うからな……。こういう予想は外れてるだろうけど。多分、もうちょい知識があったらもっと正確に絞れると思う。

豊穣の神である狼の化身・ホロの力を持ってしても恒常的な豊作は約束されず、

それを肥料などによる土質改良を知った人間がその信仰から脱却するとか、

その辺はなかなか意外と理解されていないし、

教会と商人の関係や、行商人が為替の仕組みをなかなか理解できないとか、

そういう感覚的なものも含めてよく世界観を自分のものにしているな、というのは伝わってきます。

ま、行商人の生活がちょっと勉強になりますが、メインはホロ……というより、文章だけではロレンス萌え?

絵のホロは可愛らしく描かれてるからそのイメージをしっかり持つと、ほんわかするかも。

ちょこちょこと気になる日本語はあるものの中身もしっかりしているし、中学生くらいに普通のファンタジーとして薦めることもできる作品。

褒め言葉として、「ラノベなのがちょっと惜しい気もする」と書く。

が、ラノベだから出てきたか、とも思う。

漫画とか、楽しそうね。

ところで、余談。

ロレンスの絵が『蟲師』のギンコに激似なので挿絵を見るとどうしても「あれ?なんで右目があるの?」と反射的に思ってしまう。いや、パクリとか言うつもりはないけど、なんなら他の銀髪キャラ挙げてもいいけど、どうしても似ちゃうよなぁ。