傭兵ギルド/夢日記

■070407.sat■

“そんでよ~”

“そいつの××が~”

猥雑な会話はノイズとして耳に入るだけ。脳からはシャットアウトする。カウンターで一人で飲む酒を楽しむためにはそれが必要だ。

ここにいる連中は敵ではない。基本的には同じギルドで仕事をする連中で、大まかに二つに分かれたこの町の縄張りの関係から結果的に同じ酒場に集まってきているのだ。だからそれなりに気心は知れている。

しかし、味方でもない。いつ寝返りがあるかわからない業界の中で、完全に周りを信頼している者など一人としていない。故に、この酒場の空気には豪放な笑い声の下でわずかなそれこそ静電気のように潜在的な殺気が満ちている。

と、喧騒が一瞬途切れて緊張が走った。

見ればマスターがなにやら外を指差している。

一瞬の静寂の後、喧騒が戻った。その中で俺を含む数人が裏口から出て、1ブロック離れた道から店の表側へと回りこむ。今夜は雨。街は雨音に包まれていた。

店から15メートルほど離れた場所に不審なトラックが止まっていた。荷台には幌がかけられ、積載物は見えない。しかし、乗っている奴らに見覚えがある。周囲を見回すと背後の建物の上や向かいの建物の一室にも、そいつらと同じ緊張感を漂わせた連中が居るのが見えた。

「素人め」誰かが呟いた。

その言葉を引き金に俺たちはわずかの躊躇も無く先制へと行動を開始した。

榴弾の投擲と同時に即座に散開。トラックとの交戦は爆音を合図に店から飛び出した連中に任せて、トラックの周囲の建物に隠れた連中を襲う。

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ノワール