空賊/夢日記
■060814.mon■
廃墟を歩いている。
ここは100年ほど前まではとても重要な施設だったらしいが、それがどういう風に働き、どういう風に重要であったのかは近隣に住む僕らですら知らなかった。
ただ、僕は植物の採集に近くまで来ていて、何か人影を目にしたので好奇心を誘われ、そしてこんな寂しい所を歩いている。
建物の入り口から中に入ろうとした。
その瞬間、首筋に何か長いものが突き出てきて、皮膚まで数ミリのところで止まった。
ゆっくりそちらを見ると、それは銃剣だった。
それを構えているのはとてつもなく立派なひげを蓄えた老人で、飛行機乗りが愛好する皮の帽子にゴーグルというステロタイプな空賊のいでたちをしている。当然、服は上下のツナギだ。
僕は銃剣に追い立てられて建物の中を進んで行った。
一室に通されるとそこには通信機器が置かれていて、通信先とのやり取りの結果、僕は小間使いとして拉致されることになった。
ひどい話だ。
通話口の向こう側はとても慌てている様だった。
こちらにいるジジイの方もそれが何が原因なのか分かっている様子で、特に何が起きたのか向こうに聞くことは無かった。
平気で銃剣で脅して一般市民を拉致するような連中が慌てるような事態に巻き込まれることを考えると、せめて何が起きようとしているのかという予備知識が欲しかったが、小間使いである以上口出しは慎むべきだと思って言わなかった。僕は少し適応力がありすぎるのかもしれない。
通信が終わったらジジイはコードを乱暴に引きちぎって、僕にその通信機器を抱えさせた。そしてついて来いと言う。
「出港準備だ。軍のやつらが来る前にトンズラだ」
□ □ □
唐突ですが、拉致されました。
この後は多分、家が焼かれます。
なぜなら、ベタだから。
恐るべきベタの世界。