夢日記051107

研究室の面々と神社に来ている。

丘ひとつ越え、川ほどの狭さしかない海峡を渡るとそこが本殿のある島である。

さて、バスを降りると丘の麓で道が二股に分かれている。

僕達は左の道をとり、階段を登る。階段を登りきり、眼下を見ると選んだ道が間違いであった事が分かった。

左の道の先、階段はかなり傷んでいる。しかも、降りきったところが完全に崩れ落ちて、海に入っていっている。勿論橋は架かっていない。

遠く右の道には橋がかかっているのが見えた。あちらが正しかったのだ。

このまま階段を降りて、右の道へ行くこともできるが、階段の最後の数段は波に洗われて滑りそうで危険に思われた。

僕達はこの先を諦めて、来た階段を降りて右の道へ戻ることにした。

>もう一個あるけど、長いから今日は書かない。

 昼書かないで夜書いた。「続きを読む」に。

彼は普段は馬鹿みたいに騒いでうるさいくらいの青年で、彼女はそれに乗ってかまびすしく笑う明るい娘。

外見的には特に変哲は無い。イマドキの大学生の標準よりもむしろおとなしいくらいだ。

彼の短く切った髪はせいぜい焦げ茶くらいで、彼女の方は一切染めていないさらさらの黒髪だった。

二人とも僕の後輩なのだけれど、彼らが(特に彼の方が)何やら最近塞いでいる様だったので、問い質したところ彼の両親の再婚話を聞いたのだった。

丁度両親が離婚するときが受験の時で、彼は家出同然で出て来たらしい。

彼女が彼と幼馴染で、その辺の事情を詳しく話してくれた。

入学以来、彼は母親とは会わず、疎遠になっていたそうだ。

僕らはバスに乗って彼の故郷へと向かっている。

車窓から見える景色は、建物の灰色と自然物の緑色では圧倒的に緑の方が多くなっていた。

彼と彼女と共に僕がバスに乗っているのは、彼らから頼まれたからでその理由も「もしこじれてもいつも落ち着いている先輩なら・・・」という事だった。

(落ち着いているんじゃなく、ぼ~っとしているだけなんだがね。)

そう思いつつ、こんな田舎まで付いて来てしまったことを自分ながら可笑しく思った。

バスを降りるとそこには大きな門の屋敷があった。

空を見上げると灰色の雲が空を覆っていた。

呼び鈴を押し、門をくぐると男が出てきた。

ちょっと気が弱そうだが、優しそうな人だった。

玄関先で立ち話になった。

話によるとこの男が彼の母の再婚相手らしい。

その男が言うには、彼の母は「図書館に行ってくる」と言って出かけたそうだ。

その言葉を聞いて彼は勢い良く門から飛び出していった。

折しも、空から土砂降りの雨が降り始めた。

彼のただならぬ勢いに驚いて、僕は彼を追ったが一つ目の角を曲がったところで見失ってしまった。

篠衝く雨の中立ち尽くす僕の後ろにいつの間にか女の子が追いついていた。

彼女に心当たりが無いかを尋ねる。すると図書館なら知っていると彼女は言った。

少し弱まった雨の中、彼女に付いて僕はしばらく歩いた。しかし、周りは田んぼだらけになり、どう考えても図書館が立地しそうな所ではない。

(本当にこんなところに図書館があるのか?だんだん山がちになってきてるし、道はどんどん細くなってるぞ…これはもしや。)

そう僕が疑念を感じたところ、彼女が突然叫んだ。

「やぁ~っと着いた~。」

僕が声の方を見た時、彼女は普通の民家に嬉しそうに入っていくところだった。

「お、おいおい…。」僕が彼女を呼び止めようとした。

するとそれを予期したかのように彼女は同時に振り返り、こう言った。

「すいません。ちょっと着替えてきます。先輩は…。」

「いいよ。外で待つ。」

そうか、彼女の家か、と瞬時に納得した僕は言葉通り外で待つことにした。

雨に濡れるのには慣れているので、むしろ上がり込んで色々と気を使わなければいけないことを避けた。

しばらくして彼女が出てきた。紺地に朝顔の柄の浴衣に着替えていた。

手にはウチワとタオルを持っていて、タオルの方を僕に投げてよこす。

そしてそのまま何も言わずに河川敷へ向かって歩き始めた。

川面が見えた時、僕に背を向けたまま彼女は話を始めた。

「彼のお母さん、本屋を図書館って呼んでたんです。買わなくても読めるからって…。」

僕は黙っている。目線の先には河川敷で作業する花火師たちの姿があった。

「今日は花火大会なんです。」

彼女は僕の見ているものを知ってか知らずか、そう口にした。

僕はそこで口を開く。

「お父さんも優しそうだったし、何とかなると思うよ。彼なら。」

少し笑った。そしてもう一言。「僕もけっこう君の事好きだったんだけどね。」

少し意地の悪い言葉だったろうか?自分で苦笑した。

それを聞いた彼女は振り返った。そして俯く。

「すいません、先輩。わざわざ来ていただいたのに…。」

別に彼女が恐縮するほど想っていたわけではない。しかし、軽い嫉妬を覚えるほど彼女の浴衣姿は美しかった。意地悪が過ぎたと反省して彼女に声を掛ける。

「いや、いいんだよ別に。さて、花火が始まる前に見つけておかないと。いい思い出にするといい。」

川沿いを、遠く見えるショッピングセンターに向けて歩き出した。

>夏の終わりですかね