NPOと寄付について

うーん、門前の小僧レベルのNPO法人に関する基礎知識しかないはずなのだけれど、ちょっと主にはてブの反応が気になるので書く*1
というか、自分のレベルでは分からんことだらけすぎてむしろ助けて欲しいと思って書いていたりする*2

とにかくわけわからん

このニュース。
パラリンピック募金、5〜8割を経費に充当 NPO法人(1/2ページ)
http://www.asahi.com/national/update/0403/TKY201004020489.html

NPO法人は、内閣府で検索出来て、ウェブ上でもPDFの設立趣旨や会計報告書を過去3年をさかのぼって閲覧できます。これは市民が監査するという趣旨なのですが、NPO法人制度は「設立しやすくする」というのを第一義にしているので*3、わんさか生まれてくるNPO法人のチェックは市民に委ねられているのです*4

というわけで、「日本パラリンピック支援機構」を内閣府NPOポータルサイトhttp://www.npo-homepage.go.jp/portalsite.html)で検索します。
東京都新宿区に事務所を置いていることがわかります。

NPO法人は、事業報告書を毎事業年毎に全事業年度の事業報告書や収支計算書を提出しなくてはなりません。怠ると督促が来て、その後過料とかを経た後、3年後には認証が取り消されます。

「日本パラリンピック支援機構」も収支計算書を提出しています。過去3年分を閲覧できます。

収支計算書と言ってもPDFで2ページしかありません。項目も簡素で企業会計と比べると考え難い軽さ。その辺のおっちゃんおばちゃんがレシートさえ保管していれば作れるように、というイメージだそうです。まあ、そのせいで企業会計が出来る人がNPO法人の会計になると、却って混乱するらしいですけどね。

収支計算書は、「特定非営利活動に係る事業」のページと「その他の事業」のページの2枚から成っています。「特定非営利活動に係る事業」(以降「本来事業」と書きます)とは、定款にメインとして挙げられている事業のことです。「日本パラリンピック支援機構」の場合、「募金活動」が挙げられています。一方、チャリティオークションは「その他の事業」の方に挙げられています。

「本来事業」はNPOを設立した目的そのものの事業です。ノンプロフィットオーガニゼーションがやろうというぐらいですから、採算がよろしくありません。例えば、目的がゴミ拾いの場合、ゴミ袋や軍手をどうするかという時に、会員に会費を納めてもらったり、寄付してもらうとします。この寄付収入とかの収支を書きますが、スタッフ手弁当でだいたいトントンになることは想像に難くないと思います。
「その他の事業」は、そういう収支の悪い本来事業を支えるために、他に収益を上げる事業をやって、その利益を本来事業に移転していいという仕組みです。本来事業と全然関係のないものをやってもいいです。「〇〇川ヘラサギせんべい」とかを売った収益とかそんなんもオッケーだったと思います(……なんか自分で書いてて不安になってきた)。

さて、ようやく本題ですけど、前述の通り、チャリティオークションは「その他の事業」になってます。チャリティオークションは記事によると、収益を全額寄付としているので、経費は他から捻出せざるを得ず、収益性は大変悪いはずです。なぜ本来事業に入れていないのか、理由が思いつきません。まずここから何か理解し難いので自分の知識が間違っているような気がしてきます。
そして、その穴埋めのためか本来事業の収支から1780万円くらい資金を移動しています。このお金、本来事業の募金活動や会費からの収入なのですけど……。
経費を見てみます。普通はNPO法人は本来事業がとても苦しい(はずなので)、経費を本来事業からだけでは賄いきれず、その他事業へと経費を按分します*5。この辺は逆に行政からすると、本来事業の事業費と人件費や支払家賃等とのバランスを見て、「人件費のバランスを考えるべきでは?」とかチェックするポイントになります(そのはず)。
この収支計算書でも、給料や支払家賃は本来事業とその他事業の両方に入っています。給与が353万+700万、支払家賃が233万+467万くらいです。事業報告書を見ると職員は5人〜6人のようです。条件付きで人件費は問題になりません。何故かというと、NPO法人はボランティアではなく、しっかりと戦略的に動ける人材に適切な給与を支払いつつ活動を拡大していくことが望ましいからです。だからここはせいぜい新宿に事務所構える必要あるのかなぁ?って思うくらいです、一応。
一番気になるのは、前期からの繰越金。本来事業またはその他事業で毎年1000万〜4000万近い金額を繰り越していること。ここが本当に分かんない。理由が想像もつかない。いや、経年で比べたら会費収入のアップダウンとかあるけど、繰り越すくらいなら按分のトコいじって寄付に回せないか?
ていうか、朝日新聞の記事の表と対照しても、全体的にどうなってんだ?って感じ。

朝日新聞の記事では、
同機構によると、募金収入から、30%の募金経費▽全額寄付が決められているチャリティーオークション事業の経費――を差し引く形式にしていたという。同機構は、外部の協力企業側にこうしたやり方を説明しなかったことを認めたうえで、今後は募金や事業の収支を明らかにしたいとしている。
いや、こうやって明らかなハズなんだが?
まあ、朝日新聞の記者もよく分かんなかったものが素人の俺に分かるはずも無いか……。*6

こういうことでもめないために

こういう疑いだしたらキリがない事態を避けるためには、寄付する前に事業報告書と収支計算書など関係書類を提示して説明してもらうことが大事でしょう。個人のレベルではなかなか難しいけれど、企業のCSR担当ならこの辺の書類の提出を求めるのはごく自然なことと思います。NPO法人はボランティア組織ではなく、歴とした法人です。対等に取り扱うことで、日本のNPO法人のレベルを向上させる良い影響もあると思います。

個人のレベルでは、認定NPO法人が一番手っ取り早い判断材料と思います。ある程度の額なら優遇税制もありますし。
http://www.npo-homepage.go.jp/support/nintei.html
これまではあまりに質にこだわって認定条件を厳しくしすぎて数が少なかったのですが、制度を改革したので今年辺りからかなり増加すると思います。シーズ(http://www.npoweb.jp/*7のページを見たらめっちゃ増えて127とかなってた。喜ばしい。
認定条件を緩めたとはいえ過去5年分の事業報告が求められるので*8、しっかりとした組織と熱意があることを期待できます。

……というわけで、まだまだ生まれたばかりの社会貢献の仕組みづくりをしっかり見守るとともに、気持ちよく募金していただくためにも、こういう知識が役に立ったらなぁ、と思った次第です。
ていうか、願わくばこれをきっかけに僕よりも勉強してこの文の間違いを修正してくれ。ホント不安なんで。


余談ですが、欧米ではNPOの事務局が人材プールとして機能しており、NPOのCEOもCEOらしい給与を得ているそうです。当然、キャリアパスとしても認知があるそうです。日本もどこに所属するかではなく、何をしているかが評価されるようになってほしいですね……。

*1:もう見返す人はいないんだろうけど、続報があることも見越して

*2:あと、自分の中での整理のために書いていたりする

*3:それでも、ボランティアからスタートにした方には大変な負担なのですが

*4:内閣府「監視・監督情報」http://www.npo-homepage.go.jp/information/surveillance.html

*5:暗黙だっけか……?

*6:疑念をフルに働かせれば、チャリティオークションの経費が曲者で、ここで按分の具合をちょちょいと……

*7:NPO法の制定に大きく関わった古参

*8:よほどの企業でも5年分の事業を報告せよと言われたら困るはず

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