西尾維新「戯言シリーズ」講談社文庫/読書感想

読了しました。昨日。

そういうわけで、三連休ですし、久々にブログを更新しましょうということで、まずはこいつです。

未読者への注意から。

まず、ミステリじゃないですね。

ミステリじゃないと断言しておきましょう。

でなければ、メフィスト賞ということでミステリファンが食いつく可能性があります。その可能性は潰しておきましょう。可能性は潰しておきますが、メフィスト賞ファンというなら話は別です。よく訓練されたメフィスト賞ファンならオールオッケー、ユアウェルカムで大歓迎してください。できるよね?そうしましょうね?

次に、講談社ですけど、週刊少年ジャンプネタ引用が満載のバトル漫画です。

特にジョジョネタ多数。さすが僕と同い年。おおよそ90年代ジャンプのネタが詰まっています。

あと、ちょっと週刊少年サンデーのネタも入っています。

だが、そこで「ゴーストスイーパー美神」と言うのはいただけなかった……極楽大作戦まで言ってこそだろ!

閑話休題

あとなんかガンダムネタがあったようななかったような感じなので、そういう知識がある人にオススメ。

漫画と言うには絵が無いって?

あるじゃないですか、表紙とか章扉とか栞とか!電車で読むの、恥ずかしかったんだからね!

……ええと、とにかくそういう感じで、能力バトルがあります。しかも、「こういう能力です」みたいな説明がなされる論理能力タイプのバトルです。新手のスタンド使いだと思ってください。スタンド使い同士はひかれあうとでも思ってください。

……忘れてた、あと、ギャルゲー的要素がある。ハーレム状態。主人公モテモテ。少年漫画の主人公ってモテモテですよね☆

まあ、「ラノベ」といえばそれまでなんですが。

僕のラノベ経験なんて「ブギーポップ・シリーズ」くらいなもんなので――あー、あとは、らっきょも読んだけど、あれは「新伝綺」だったよね、確か――そういうわけで確として「ラノベです」とは断言できない次第です。どーも、すみません。

注意書きなんてのはだいたい三つめが重要なんだけど、これ冗漫。

冗長の奇妙な冒け……ごめんなさい。とにかく、持って回っていちいちにぃにぃワンワン鳴いて、頭が西なら尾は東なんて当たり前のことを十重二十重と言い募るものだから口説くじゃなくて諄くって仕方ない。それでいて、巡ってきた場所は元の場所から殆ど変わってないってんだからね。

まあ、でも、10代なんてそんなもんだよ。

おんなじ事の繰り返し。同じ失敗の繰り返し。でも、少しずつ大きく力をつけて世界を回せるようになってくんだ。

そういうジュブナイルなんですよ、この作品。

中二病のハイエンド。大二病のデッドエンド。それがこの作品です。

以上、感想終わり。

……。

……とは、いきませんかね。

「うにー、いーたんの友への再プロポーズのシーンは見たかったなー。」

……とか、

人智を超えた全力全壊スーパーバトル!ただしドラゴンボールなし!」

……とか、そんくらいかな。

とにかく、女子供の登場人物が多いから、その辺に人死にが出るとちょっと凹むのよ。唯一の例外は大往生だしさ。いや、多少の心残りはあるだろうけど……。

ていうか、炉(ry

そんな感じです。

最後は講談社のネタを盛りこんでよかったんじゃねーかな。

デンプシーロール対スマッシュ!みたいな感じで。

偽名も角川だったし。アレは思わず噴いたけど。

局面局面では面白い戯言も、終わってみると印象に残っているものはほとんど無いんですよね。

ただ、面白いことは面白いのだから、発掘した編集者は良い仕事したとは思います。売れてるし。

みここ語は結構好きですけどね。みかか変換みたいで。

あと、「戯言だけどね」はつい使ってしまいたくなる。戯言だけどね。

さて、それでは最後にいーちゃんの本名の件に行きますか。

まず、ヒントをおさらい。

①あだ名は「いーたん」「いーちゃん」「いっくん」「いー兄」「いーの」「いのすけ」「いっきー」

②名前をローマ字で表記した場合は、子音七文字、母音八文字

③"あ"を"1"、"い"を"2"という具合に"ん"の"46"まで文字を数字に置き換えた場合の総和は「134」

そして、追加のヒントと思われるのが、

実妹は、井伊遥奈(いいはるかな)

というものですね。まあ、"いいはる・かな"と区切るとかいう説もネットにはあるみたいですが、こじつけがましいかと思います。

それで、作中の"策士"萩原子荻は最初の三つのヒントで解読したことになっています。

ところが、まあ、ちょっと考えれば解りますが、この三つのヒントでは変数が多すぎて答えにはたどり着けません。喩え天才でも無理。しかし、萩原子荻はこの斯界(天才とか裏社会とかそういうのの世界)の割と有名人「いーちゃん」についていくらかの情報は持っていたはずです。例えば、「どういう漢字を書くか」とか。そう考えれば「よみがなを問う質問」によって答えがすぐに出たのも納得できるでしょう。何?子荻ちゃんの格がちょっと下がったようだって?せいぜい"割と有名人"レベルの人間の情報まで持っていれば、セミプロとしては十分だと思いませんか?

まあ、僕が戯言シリーズ萩原子荻が一番好きだったなぁ、という感傷は措いといて、この「読みを尋ねた」という考え方は、「名前を教えた者は死んでしまう」という設定と合致すると思います。つまり、本名を漢字で書いても正確な読みは分からないし、仮名ならぬ仮の読みで通すことで本当の読みを隠すことはできるが、本名を名乗って音を知らせると相手は死ぬ、ということになる。

まあ、大した考察でも無いですけど。

さて、で、肝心の本名ですが、さっぱり分からん。

まあ、まず、実妹の氏名という追加ヒントから、

井伊姓だろう、

それから、"いいはるかな"="言い張るかな"というように、言葉遊びをしているだろう、

という二点を推し量れます。しかし、明らかに情報不足。

"いいのがれさんだゆう"とか"いいせいかくしてる"とか"いいかげんなやつ"、"いいなおすけむねみ"……いろいろ考えたけど、条件③の計算がめんどくさい。

すぐググっちゃうんだね。仕方ないね。

てわけで、ここのサイトを拝見いたしました。

「世界の中心でマイを叫んだけども | いーちゃんの本名についての考察(リニューアル版)」(2010.05.13)

……ううむ。すげえ。と唸った。

特に、"壱外"="位置外"="傍観者"ってのの説得力が良い。そして、"いちがいじんぶつ"という読み換えも面白い。

"虚戈言遣(うわとほこいつき)"という説は、ちょっと弱いかな。なぜかというと、このサイトとかでも書かれてるけど、西尾維新いーちゃんの本名を「いい名前」と評しているらしい。この説は「いい名前」に聴こえないし、シンメトリカルでもない。つまんない。そんだけ。

それで言うと、壱外っていう名字もそれなりに面白くはないんだけどね。てか、この説だと玖渚機関のいの一番である「壱外」がまるまる作品世界から外れてしまうかな。んー、でも、まあ、作品には出てこられないような一般人の世界って意味なのかな。一般人が事件に巻き込まれる。一般人でない者の周りで事件は起きる。そういう論理。

あと、裏の名前と表の名前を使い分けている、っていう描写は無いと思うんだよね。闇口崩子石凪萌太も、殺し名で生活している。それが裏で通用する名前だと知っているのは裏に生きる者だけだからだ。だから、いーちゃんも名前を隠す必要はないだろうし、10歳の頃は自分の苗字の意味も知らなかったんじゃなかろうか。プロテクトは、多分「読み」しかかかっていないんじゃないかな?

井伊遥奈は、井伊遥奈という名前で身近に存在していて、姓が違っていたから実妹とは知らなかった、ということなんじゃないかな?

そんで、壱外から殺人方向に狂ったら一文字変わって"キチガイ"になるんじゃねーの?でも、ならなかったんだけど。

……まあ、他人の回答を借りることにはなりますが、説得力があるからね、壱外って姓は有力だと思う。

壱と玖を足せば十全ですわ、だし。

けど、何か乗っかりも楽しくないのでもうちょい考えてみる。

最初は、遠野とか遠坂とか"十(とお)"を意味するのも面白いかな、と思った。あと、1と同じくらいには、10はゼロに似ていると思うからね(数秘術的意味で)。だけど、総和が大変なことになっちゃって名前の方の数字の割り当てがかなり厳しいんだよね。

ゼロに似ているってんなら"むげん"はどうよ?と思ったけど、いや、何より、"い"って条件が。

"い"って線からは"五百蔵(いおろい)"とかも考えたけど、いや、それ500だし。

どうでもいいけど、玖渚友の性格とか行動様式って、"言い張る"ことで自分にも定着させていた。だからベースになった人格からはこのへんを模倣しているんだろうね。

うーん……(注:この間、下書き保存を挟んで1日が経過しています)……面白い名前つくるの難しいな。

名前の方で"生物(なまもの)"ってどうよ?って思ったけどなー。キチガイセイブツ……あ、ダメだ。

うーん、ギブアップ。

ネーミングセンスはよくわからんくていいや。

玖渚機関のネーミングの元もようわからんしな。

壱外。外、でもこの外って象形的には「削りとって外す」だから動的な排除であって他みたいな位置的なものじゃないんだよね。

弐栞。栞、人里と山野の境につけた道しるべ。

参榊。サカイノキで隔てられた神域ってことかな。榊は国字。

肆屍。屍、肉体の死?

伍砦。これは石のとりで。今引いたら砦は寨と同字らしいけど、それは材料の違いだろう。

陸枷。首にかける刑具。あのエリマキトカゲみたいになっちゃう板の四角いやつ。足と手は桎梏な。もしかしたらこれは読みを拾って"加瀬"とすべきなのかもしんないけど。

柒。七ってあんまり良い数字じゃなくね?西洋思想だし、西洋思想の政治結社なんかなー?

捌限。限はこれまた人里(こざとへん)を目配りして境を設ける意。

玖渚。渚は字としては汀の中でも、中洲を意味する。

……って感じで統一感が分かんない。これって何か元ネタがあるの?途中までは黄泉比良坂か何かかな?と思わなくもないんだけど、全体に良く解らんし、深く考えても仕方ないのかな、と思っています。

なんか他の作品で解説されてたりすんねやろか?

ま、ええわ。

もういーちゃんの作品はおなかいっぱいです(別に俺が西尾維新さんにいーちゃんってあだ名つけてるだけですサーセン)。

あ、でも、いーちゃんが僕よりも本を沢山読んでそうなところは素直に尊敬する。すごい。田山花袋とか読んでないし。作家ってホント本を読んでるよね。僕は遅いからなー。あこがれちゃうなー。

というわけです。