舞城王太郎『煙か土か食い物』講談社文庫/読書感想

明日早いけど、俺なら感想書けるはず。チャッチャッチャ。

さて、読み始めて感じるのはハンパないドライブ感。

このドライブ感というものは、つまり「おう、新しい車買ったんだ。お前乗せてやるよ」てな感じで、開かれた助手席のドアに押し込まれるのに等しい。「やっほうドライブだー!」である。

そこで運転手たる作者に付いて行けるかどうか、ってのが最初のハードル。ここで身を固くすると、三半規管までロックされてバッドトリップまっさかさま。

一緒にノレるなら、まず最初をクリア。しかし、だいたいこういうドライバーってのは、読者を左右に揺さぶるようなところに話を持って行きがち。つまり、峠を攻めに行く。失敗すれば真っ逆さまだが、だいたいそんなことお構いなし。というか、敢えて落ちる奴もいるから困る。

その点、舞城王太郎は運転は上手い。この作品では。

キリキリと飛ばしながら、それでいてビューポイントでしっかり夜景を魅せることを忘れない。

まあ、その夜景が悪徳の栄えのような、家族の不和の風景っつーのはキツイけど。

でも、最後の一瞬は、夜通しのドライブの後で、山際から曙光が射してすべての景色を浄化するような、美しさがある。

汚いものにも、光はあるじゃん。

すばらしい。ブライテスト・マインド。

これの犯人は、まあ、解りやすいかな。

うーん、まあ、ね。ミステリとしては、ケレン味もあって面白い。でも、中心からは外れてっちゃう印象。

敢えて言えば、真犯人は、ひでぇ奴だ。そいつを描かなかったのは、四郎の臆病さでもあるが、その臆病さは生物の平穏を求める本能として正当である。だから非難できないな。

まあ、共犯の疑いってやつには、あれは利用されかかったが踏みとどまったために、ポイされたってことだろう。

うん、15分かな。

まあまあ。

ここで手を打とうか。

パンッ!