横山秀夫『深追い』新潮文庫/読書感想

横山秀夫の小説は生真面目に組織人の枠に収まっていて、フィクションとしての開放感に惜しいところで欠ける、なんていう感想を書くのにも飽きたので、個別に感想を。

「深追い」

しかしそれでも深追いは深追いだなぁ。

やっぱこの先は厳しい。

「又聞き」

ずぶとすぎるよな。ずぶとい。女。

「引き継ぎ」

引継ぎ的な意味では、試合に負けて勝負に勝ったみたいな。

「訳あり」

いや、そんな発想できないだろ普通、あの短時間に。

「締め出し」

不器用でも、執着すればなんとかなる、っていうことだけど、こういう反撃の話はついつい気に入ってしまう自分の性根がちょっと嫌かもしれない。

「仕返し」

とりあえず、ぶん殴るところまでは書くべきだったんじゃないかな。

「人ごと」

まあ、オーソドックスな話っちゃあ、そうなんだけど。

こういう話好きなんだけど……やっぱ普通の話かな……あれ?読んだときはこの話がこの短編集に入ってて、しっかりシメになってよかったな、って思ったんだけどな……。

やっぱり、ちょっと登場人物に陰がありすぎるんだよな。

んで、主役に憧れる女の子が純粋に陽性な女の子が多いこと。

もっと成熟した大人の魅力を持った女性が出てきても面白いと思うんだけどな……。

うん、そうだな、登場人物に幅がほしいな。横山作品には。

以上。