『レッドクリフ Part2』/映画感想
さて、両親と行って来たPart2
ネタバレしまくりつつ感想行きます。
Part1の感想はこちらから⇒『レッドクリフ Part1』/映画感想
さて、のっけから敵軍に潜入している孫尚香。
確かに少年っぽい感じだけど、まさかそんなあっさり。
ていうか、お姫様なにやっとるんだー!
この時点で俺はとりあえず、赤壁の陣から呉都へと帰れって言われたのを、途中で抜け出して敵陣に潜入したという形で脳内補完。
目立ちすぎるスパイの孫尚香は、敵陣の配置を布に墨でメモしまくる。
その過程で、蹴鞠で出世したお人よし百人隊長と仲良くなって、いろいろだまして手伝わせてしまう。
俺は思った。こいつは斬首だ、と。
つか、パート1で劉備とはフラグすら立たせずにこれかよ、と。
そんなスパイに気づけない大所帯の曹操軍では、
華陀曰く「慣れない気候や水と、連戦と大移動による疲れのために疫病への抵抗力が弱まっているのです」(ドット絵略)
というわけで、疫病が大流行。
船酔いするとどうしても吐しゃ物が出てしまうし、野営の陣地では衛生状態の確保もままならない。これは深刻な事態だよな。
そこで曹操は火葬にするべしという華陀の提案に対し、なんと死体を船に山積みして対岸の同盟軍陣地へと流す策をとります。鎧や武器をつけたまま流れてくる死体に、下っ端の兵士たちや農民は何の疑問も持たずに群がって略奪開始。というのは、多くの戦争でそうなんだけど、戦争で作物に被害を受けた農民はその埋め合わせとばかりに、死体から金目のものを奪うというのが恒常化していたらしいのですよ。
しかし、曹操はそれによって疫病が同盟軍にも伝染することを目論んだんだな。なんと極悪な策。でも、火葬のための薪を浪費する気遣いもないし、一石二鳥の策なんだな。
「地元民が風土病に罹るなんておかしい」と知人が言ったけど、どうかな。ウィルス性じゃなくて、嘔吐下痢症みたいな細菌性のものだったら細菌への接触率と当人の抵抗力に依存するから、ありうるんじゃないだろうか?
さて、曹操軍側では船酔い対策のために、蔡瑁が船と船を閂によって連結し、揺れを少なくする方策を提案し、受け入れられる。ここで、連環の策が自軍からの提案であったということと、その提案時にいつでも切り離せることを示したということは、良い演義からの改変だったかと思う。龐統の提案っていうのは登場人物が増えることよりも、あれは曹操があまりにもボケすぎだろうって感じだし、敵の質を落とさないためには重要。
また、西北の風を利用した火計を曹操軍側が考えていたというのもグッド。考えてみれば安定した風を利用するのは当然の策だよなぁ。
一方、連合軍では曹操の思惑通り疫病が大流行。
劉備軍はたまらず夏口までの撤退を開始し、同盟軍は事実上の解体。
これは、感染の状況が呉軍よりも劉備軍の方がひどかったのだと容易に想像できる。劉備軍も北から撤退に続く撤退を重ねてきた軍だから、むしろ曹操軍よりも抵抗力は低かっただろう。
この劉備軍撤退により矢が10万本足りなくなったと、唯一呉陣営に残った孔明に無理難題が吹っかけられる。このエピソードも楽しいから入れたいよな。自ら三日と期限を切っておきながらのんびり空を見てばかりの孔明に、やきもきして不安げな魯粛がいちいち面白い。
さて、並行して曹操も動く。周瑜の旧知の蒋幹を送り、蒋幹は善意を装って降伏を勧めます。
周瑜は蒋幹が曹操側の人間であることを知っており、わざとらしく手紙をちらつかせて興味を引き、まんまとニセ手紙をつかませる。
ここは演義のエピソードなんだけど、このニセ手紙だけで蔡瑁が処刑されたってのは無茶な話だったわけだけど、ここで矢の話が連動してくるのは巧かったと思う。
ていうか、魯粛の扱いがすばらしい。観客も笑ってたよ。魯粛いいなー。
謀略での戦いに負けた曹操は正面から実力で叩き潰すべく準備を整えるわけだが、ここで孫尚香が帰陣。普通に孫権がねぎらってて吹いた。知ってたのかよ!おかしいだろそれは!つか、地図でか!さらっと脱ぐ孫尚香と目をそらす家臣たちが可笑しかった。
東南の風は祈祷をすることなく空を読んで予告。えー、祈祷はやろうぜー。一般兵としては祈祷の結果、つまり祈りが点に通じた結果、ってのは天意を味方につけたって意味で非常に心強いと思うんだ。前半部分で火葬するときに怪しげな踊り手たちがいたからてっきり祈祷シーンがあるものと思ったのに。うーん、孔明を怪しげな術士と誤解されたくなかったのかしらん。
一方、夏口で無聊を託つ劉備軍もいよいよ動き出す。
劉備が抑えるも趙雲、張飛、関羽が独自に動き出そうというシーン。
ここで、劉備が孔明の策であると明かすシーンがあったらもっと良かったと思うんだけどなー。
すると、敵後背を衝く軍の存在を信じる周瑜の場面がもっと映えたと思うんだ。
あわただしく動く両軍の陰でこっそり大胆な動きに出る人物が。
それは……ありえんわ。なんという世間知らずなお姫様。これはちょっとなー。
まあ、西洋式に囚われのお姫様を助けに行くって構図を持ち込んだわけだけど。
そしてお茶を飲んでいる間に風が変わる。
ここからの火計の大爆発シーンは大迫力。
そして上陸戦。
今 度 は ア ル マ ジ ロ か。
いや、絶対それ熱いって!
まあ、そんなこんなで投石器を壊したりいろいろあって、劉備が戦ったりするんですよ。
でも、孫権は自重しろ。ほんと自重しろ。
ああでも、パート1の虎狩のシーンを髣髴とさせる曹操捜索のシーンは良かった。うめぇ構成だ。
んで、いろいろあって曹操が逃げ……逃げられねぇのかよ!
それでどうすんのかと思ったら、
周瑜曰く
「勝者はいない」
( ゜ д ゜ )
( ゜ д ゜ ) ……え?
という感じでした。
まさか最後の最後でそんなオチを持ってくるとはorz
そりゃねーぜ。
マジで。
あのさー。曹操は逃げないとだめだろー。
ホント、最後の最後でそれはないわー。
孫権の矢が外れたのも孫権がビビッて外したみたいじゃないかー。
最後の最後で詰めを誤りやがったー!
って、思いました。
いや、あのシーンは曹操が背中を向けて逃げ出して、孫権の矢がぎりぎりで外れた、っていうシーンであってほしかった。
マジで(2回目)。
孫尚香のエピソードもイミフだったし。
なんか、アレはいらないよ。
反戦イメージとしても中途半端すぎる。
うーん、大体良かったけど最後が微妙だった、という感想です。
あのレッドクリフから反戦という結論を導き出すには、もっと勝利で得られたものを明確に示すべきだった。そんなもの無いから。領土でもなんでもないし、まして守りたかったものは死んでいる。曹操の統一の夢とはなんなのか、そのへんのほうが大事だったかも。
うーん。戦争映画は難しい。